ソープ嬢の孫が認知症の祖母の介護に奮闘する物語。ソープランドと介護は何ら接点がないように思えるが「人の身体を洗うこと」という共通点を通し、介護、認知症、SEXワーカーという身構えそうになるテーマを軽快に丁寧に描く。

1本の電話から物語は始まる。家族には内緒でソープ嬢として働く主人公・加那(中尾有伽)に母から「1週間だけ、おばあちゃんの介護してくれない?」。昼間は実家で祖母の介護、夜はソープランドというダブルワークが始まる。

認知症を患う紀江(研ナオコ)と8年ぶりに再会するも、孫へのあいさつは「初めまして」「お名前は?」。翌日も“初対面”が繰り返される。

中尾の演技は繊細でチャーミングだ。ジャンルの境目なく活躍を続ける研のためらいのない演技は、クスッと笑わせる。「仕事は生きる糧なのよ」「職業に貴賤(きせん)はない」。「孫」に語りかけるまなざしは、どこまでもやさしい。故永六輔さんの孫の岡崎育之介氏が自身の祖母の話をもとに脚本を手がけ、監督を務めた。岡崎氏を“育ちゃん”と呼ぶ研は「重い話だけど、明るく、明るく、作ってくれた」。心を「うぉっしゅ」してくれる作品だ。【松浦隆司】

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