もっと生きたい。ずっと一緒にいたかった。TikTok(ティックトック)で注目を集め、「令和イチ泣ける」と話題になった芥川なお氏の純愛小説を映画化。お涙ちょうだいの「余命もの」ではなく、家族や友人、大切な人を思う気持ちが丁寧に描かれていて、涙が止まらなかった。
子どものころから病弱で、家の中だけで過ごしてきた桜井萌(當真あみ)は15歳の冬、余命半年と宣告される。限られた時間の中、高校に通うことを決意し、全力で恋をする。恋人になった佐藤日向(齋藤潤)と、一緒に見ると永遠に結ばれるという6月の満月「ストロベリームーン」を見に行く夢をかなえるが…。
赤みがかった満月のはかない光と、當真の透明感ある演技が重なり合い、心を揺さぶられた。恋人役の齋藤の純朴な演技もいい。母を演じた田中麗奈の号泣シーンは胸が締め付けられた。ヒットメーカー岡田惠和氏の脚本と新進の酒井麻衣監督の繊細な演出が秀逸だ。ヒロインの恋人への言葉が切ない。「巻き込んでごめん、好きになってごめん」。命が燃え尽きる瞬間まで、全力で生き抜く。だれかを思う気持ちの強さや温かさの大切さを改めて気づかせてくれる。【松浦隆司】
(このコラムの更新は毎週日曜日です)




