今春、ラニーノーズ、からし蓮根らが大阪から東京へと旅立っていく。ここ数年だけでもロングコートダディ、ニッポンの社長、マユリカ、ビスケットブラザーズ、滝音、さや香、紅しょうがらが東京へと移籍。それでも次から次へと新しい人気者が生まれてくるのが、お笑いの街・大阪のパワーなのだ。

で、4月からの大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)。劇場や賞レースでの実績や人気から見て、エース格となるのはカベポスター(永見、浜田)、ダブルヒガシ(東、大東)、天才ピアニスト(ますみ、竹内)となる(記者の主観です)。

この3組の名前をじっくり見てみると、上方漫才のレジェンドたちとそれぞれイメージが重なってしまう(あくまで記者の主観です)。

カベポスターの永見大吾(左)浜田順平(2024年11月撮影)
カベポスターの永見大吾(左)浜田順平(2024年11月撮影)

まず、カベポスター。すでにM-1グランプリ決勝を2度経験している実力者で、永見は「探偵!ナイトスクープ」にも出演中。見た目は非ワイルド系で、漫才に品と知性が感じられるのが特徴。それは、あの夢路いとし・喜味こいしにも通じる魅力でもある。

いとこい漫才は、淡々とした言葉のやりとりで笑いを取った名人。上岡龍太郎をして「いとこい先生が言うことはすべて正しい」と心酔する人格者であり、上方漫才の最高峰でもあった。

派手な動きや声を張り上げることはないが、しっかりと笑いにつなげる話術は、ぜひカベポスターも受け継いで欲しい。

ダブルヒガシの大東翔生(左)東良介(2023年5月撮影)
ダブルヒガシの大東翔生(左)東良介(2023年5月撮影)

次いでダブルヒガシ。いとこいと同時期に活躍していた中田ダイマル・ラケットとダブって映ってしまう。いとこい漫才を「静」とすれば、ダイラケは「動」。表情豊かにアクションを交えて展開する爆笑漫才「青火がパー、ぼやがポー」は名作として語り継がれている。

笑顔がチャーミングで憎めない大東のキャラは、バッテリィズのエースと匹敵する天然記念物。爆発的な笑いを取る漫才コンビとして、さらに上を目指してもらいたい。

天才ピアニストの竹内知咲(左)ますみ(2025年2月撮影)
天才ピアニストの竹内知咲(左)ますみ(2025年2月撮影)

最後に天才ピアニスト。女性コンビではあるが、舞台でのやりとりを見ていると横山ノック・上岡龍太郎をほうふつとさせてくれる。表情が豊かで瞬発力にすぐれたますみのボケは、唯一無二ともいえる天性のボケ(ノック)を思わせ、竹内のツッコミは言葉のチョイスの絶妙さ、当意即妙さ(上岡)が素晴らしい。

ノック・上岡は正確には漫才コンビではなかったが(「漫画トリオ」では一緒だったが)、テレビの司会などで絶妙なトークを見せており、記者の記憶には鮮明に残っている。

いとし・こいし、ダイマル・ラケット、ノック・上岡はいずれも上方のお笑い史にさん然と輝く名人ばかり。時代は変われど、新たなお笑いスターは次々登場する。カベポスター、ダブルヒガシ、天才ピアニストにはそれぞれの個性を伸ばして、何十年か先には漫才界のレジェンドと呼ばれるような存在になってほしい。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)