9月4日に卒業を控える大園桃子(21)が、乃木坂46の3期生として活動した5年間を振り返った。今月21、22日の全国ツアー福岡公演が、アイドルとしてのラストライブとなる。卒業後は惜しまれつつも芸能界から引退するが、前向きな決断だという。「心配しないでください」と笑顔で呼びかけた。

福岡で行われる卒業セレモニーを前に笑顔で心境を語る乃木坂46の大園桃子(撮影・中島郁夫)
福岡で行われる卒業セレモニーを前に笑顔で心境を語る乃木坂46の大園桃子(撮影・中島郁夫)

7月の卒業発表から1カ月以上が経過し、全国ツアーの大阪、宮城、名古屋公演を終えた。「ずっとライブは得意じゃないと思っていたんですけど、最後だからなのか、すごく楽しめています」と笑った。同時にメンバー、特に同期の3期生からは寂しがられることも多くなってきた。「自分としてはすごく明るい気持ちの卒業だから、明るくいられるんですけど、何もかもが最後ってなってくるので、周りはすごく寂しがってくれます」と明かした。

16年9月に加入した時から、劇的な生活の変化に、困惑していた部分もあった。17年にはシングル「逃げ水」でセンターの1人に抜てきされた。天性のアイドル性を備えつつも、涙を流す場面も多かった。「当時から、卒業については考えました。最初の頃は、こんなに早かったら『卒業』じゃなくて『辞退』になるのかな、って思いながら。でもメンバーやスタッフさんが引き留めてくれたから、5年間続けることができました。今は卒業がこのタイミングで本当によかったと思います」と感謝した。

東京アイドルフェスティバル 左から阪口珠美、大園桃子(2017年8月撮影)
東京アイドルフェスティバル 左から阪口珠美、大園桃子(2017年8月撮影)

「乃木坂加入前後くらいから精神的に弱くなっていて。だけど最近は強くなったと思います。去年の外出自粛期間がすごくいい時間になったというか。これまでありがたいことにずっと忙しくて、休業した時も『自分だけ休んでいる』状況で自己嫌悪になっていたので、心から休める時間がなかったのかもしれません。初めてちゃんと自分を見つめ直すことができて、明るくなった気がします」

以前から、卒業したら引退すると決めていた。「芸能活動で、私1人でできることはないのかな、って思います。そんな甘い世界ではないと思うので」。引退後は「幸せに暮らしたいな、と思います」という。ファンや関係者からも「もったいない」と惜しむ声が聞こえてくるが「私が私のいいところを理解して、考えてできるようになったら、それは私が面白くなくなっちゃう時なのかなって思います。だからやっぱり、卒業は今がベストなんですよ」とほほえんだ。

メンバー成人式 左から大園桃子、山下美月、渡辺みり愛、向井葉月(2020年1月撮影)
メンバー成人式 左から大園桃子、山下美月、渡辺みり愛、向井葉月(2020年1月撮影)

22日が正真正銘のラストライブ。会場チケットは完売したが、生配信も行われる。「家族や友達も見てくれると思うので、楽しんでいる姿を見せてあげたいです。たくさん心配を掛けてきたし、ずっと変わらず応援してくれたから。本当に最後なので」と願った。

「ファンの方々には一番に『心配しないでください』っていう思いを込めてライブがしたいです。ずっと見てくださった人は『大丈夫かな』って思っちゃうと思う。でも、私は前向きです。寂しいかもしれないけど、どうか寂しがらないでくださいね!」

唯一無二のアイドルスマイルは健在。5年間を最高の形で締めくくる。【取材・構成=横山慧】

福岡で行われる卒業セレモニーを前に心境を語る乃木坂46の大園桃子(撮影・中島郁夫)
福岡で行われる卒業セレモニーを前に心境を語る乃木坂46の大園桃子(撮影・中島郁夫)

◆大園桃子(おおぞの・ももこ)1999年(平11)9月13日、鹿児島県曽於市生まれ。地元の先輩の勧めで乃木坂46オーディションを受け、3期生として加入。愛称「桃子」「ももちゃん」。156センチ。O型。