乃木坂46樋口日奈(24)が、今月31日に東京国際フォーラムホールAで行われる自身の卒業セレモニーをもって、グループから卒業する。11年8月に加入し、1期生として長年グループを支えてきた。当初は自信を失う時期もあった11年2カ月。ひたむきに活動を続けた「代打の神様」に訪れた、最大の転機とは。

卒業を迎える心境と思い出を語る樋口日奈(撮影・中島郁夫)
卒業を迎える心境と思い出を語る樋口日奈(撮影・中島郁夫)

卒業セレモニーのリハーサルが始まった。「私の乃木坂生活の歴史を、ファンの方々と一緒に振り返るような内容になっていると思います」と明かした。「私が大好きな曲とかもたくさんやらせてもらう予定です。最後は絶対にこの子とこの曲をやりたい、って思っていることもあるので、当日を楽しみにしていてほしいです」とアピールした。

「最後に、いろんな方面に向けて感謝の気持ちを伝えられる機会をもらえたのはすごくうれしかったし、ありがたかったです。31日が本当に最後。今だから正直に言えることとかもあるし、11年間を包み隠さずお伝えしていければ」

13歳、中2で乃木坂46に加入した。「本当に子供でした。顔つきも、体つきも。当時の記憶は断片的で、特に学業との両立で大変だった時期のことはあまり覚えてないです」と回想した。12年2月のデビュー以降、選抜に入れない時期が続いた。「自信がなくなる一方でした」と振り返った。

卒業を迎える樋口日奈(撮影・中島郁夫)
卒業を迎える樋口日奈(撮影・中島郁夫)

選抜の壁は厚かったが、地道にパフォーマンス力を磨いた。歌番組などで選抜メンバーに欠席者が出ると、ピンチヒッターとして急きょ出演することも増えた。「みんなは『大変だけど大丈夫?』って言ってくれるんですけど、私は単純に呼んでもらえることがうれしかった。自分が必要とされて、ちょっとでもグループの力になれた、って思えたので」。17年のシングル「いつかできるから今日できる」は、ほぼ全てのポジションのダンスを覚えたという。

20年にコロナ禍に入った。配信シングル「世界中の隣人よ」の制作時期、マネジャーに「辞めようと思っています」と伝える決心をした。だが逆に「先に1つ話があるんだけど」と切り出された。フジテレビ系スペシャルドラマ「教場2」(昨年1月放送)出演だった。役作りのため、30センチ以上髪を切った。

「いくつか転機はありましたけど、一番大きかったのは髪を切った時ですね。『教場2』の撮影は厳しかったけど、終わった後乃木坂に戻ったらみんなから『変わったね』と言われました。それまでは他の人と自分を比べてしまっていたんですけど、あの時から自信がつきました」

思い出を語る樋口日奈(撮影・中島郁夫)
思い出を語る樋口日奈(撮影・中島郁夫)

加入から9年、ようやく訪れた好機に一皮むけた。昨夏からは選抜にも定着した。「結局自分に対して負けず嫌いなんですよ。諦めたくなかったので。続けてよかったです」と笑った。

卒業後も芸能活動を続ける。「幼稚園の頃から漠然と歌手が夢だったんですけど、乃木坂に入って、舞台『16人のプリンシパル』でお芝居の楽しさを知ったんです」。舞台を中心に多数の作品に出演してきた。「これからまたいちから勉強するつもりで頑張りたいです。仕事でもプライベートでも、やりたいことがいっぱい。楽しみです」。地道な努力と強い精神力で、ソロでもきっとチャンスをつかんでいくことだろう。【横山慧】

◆樋口日奈(ひぐち・ひな)1998年(平10)1月31日生まれ、東京都出身。愛称「ひなちま」。「SHOW BOY」や「フラガール -dance for smile-」(主演)など多数の舞台に出演。161センチ。血液型A。