昨年の日本ドラマ界を席巻した、TBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(逃げ恥)の原作漫画の番外編が、2月25日発売の月刊漫画誌「Kiss」(講談社)4月号に掲載される。原作者の海野つなみさんが、日刊スポーツの取材にメールで応じたインタビュー第2弾は、主人公・森山みくりの伯母・土屋百合を主人公に描いた、番外編を中心に、「逃げ恥」がブームとなった現代の世相から続編の可能性など今後まで、存分に語った。

 -昨年、出演したTBSラジオの番組で、主人公の森山みくりに似ているという話題が出たが、実際は?

 みくりちゃんにも似ているし、平匡さんにも百合ちゃんにも沼田さんにも似ています。あまり誰かをモデルにしているというのはなくて、自分の一部を膨らませていろんなキャラクターを描くタイプです。

 -百合ちゃんが主人公の番外編は何を描く?

 ズバリ、高齢処女の処女喪失に伴う諸問題の話です!

 -続編の可能性は?

 4年ちょっと、先の見えない物語を、ようやくまとめ上げてほっとしているところなので、今は続きは考えていないです(あれば連載を続けているでしょうし)。描く可能性があるとすれば、2人の行く末を考えて「これは物語になる」と思える何かが自分の中でつかめたらでしょうか。

 -「逃げ恥」には、多様な人々の価値観、生き方が描かれる。海野さんにとって、生きやすい生き方とは何だろうか?

 個人的に、自分1人で何もかも背負い過ぎないというのが生きていく上で楽になる生き方だと思っています。友達でもビジネスでも、いざというとき頼りになる存在があるありがたさ。そういう意味で、頼りになる誰かと一緒に暮らすのは、相性が合えばとてもいいことじゃないかと思います。ただ、お互い相手に依存し過ぎないようにするのが大事だとも思います。

 -今の時代について、どう思うか?

 この作品が、多様性を大事にする時代においての

みなさんの入り口の1つになっていたらいいなと思います。今はまだ、いろんな価値観が混沌(こんとん)として対立もある状態だと思うのですが、誰もが「そうあるべき」に縛られない、そして誰かを故意に傷つけない、そんな時代になっていってほしいです。誰もが「普通」からはみ出る可能性があるものですしね。

 -ドラマが大ヒットした「逃げ恥」。漫画以外のコンテンツとして、今後、どうなっていってほしいか?

 作者というのは欲張りなので、いろんな形で展開してくださるならいろいろ見てみたいなあと思います。もちろん、神キャストのTBS版の続きも見てみたいですし、いろんな局で違うキャストで毎年やってもらってもいいです(笑い)

 -ファンへメッセージを

 「逃げ恥」を、こんなに皆さんが大好きになってくださって、本当にうれしいです。(ドラマを)何度も繰り返し見たり、原作を読んだり、絵を描いたり「恋ダンス」を踊ったり、皆さんの日常の一部になったのを感じて、ドラマってすごいなあと思いました。応援してくださった皆様、本当にありがとうございます!

 次回から、海野さんの担当編集者を20年以上務める、講談社「Kiss」編集部の鎌倉ひなみさんが、原作の魅力、ドラマ化の裏話、海野さんと二人三脚で歩んだ作品作りを語る。【村上幸将】