松田聖子がデビューした1980年からおニャン子クラブが結成された85年まで、女性アイドルの全盛時代に、唯一「不作」と呼ばれたのが1983年(昭58)。残念なこの年にデビューしながら、今も芸能活動を続ける7人が、11月に35周年イベントを行うことが19日、分かった。「不作と言われた私たち『お神セブン』と申します」と命名したステージに上がる、往年のアイドル7人を直撃した。

 ミリオンセラーとは一切無縁でも、ずうずうしくもたくましく、平成のアイドルを意識して「お神セブン」を名乗るのは大沢逸美(52)桑田靖子(50)小林千絵(54)徳丸純子(52)木元ゆうこ(51)森尾由美(52)松本明子(52)。11月19日夜と20日昼夜に東京・銀座8丁目博品館劇場でイベントを行う。

 デビュー30周年を迎えた13年、ある番組で大沢が「同期に会いたい」と希望したところ、3人と再会。その後、3人にも次々再会し、14年1月には7人がそろった。以来、誰かが舞台やライブを行えば、必ず誰かが駆けつけた。飲み会も含め、集まればその模様を各自がブログにアップ。すると、今も彼女たちを愛すファンを刺激したという。

 桑田 私のライブのたびに誰か来るんじゃないかって、ほかの6人のファンが来てくれる。82年でも84年でもなく「83年組が好き」ってコアな方がいる。

 大沢 私たちも集まるとパワーがもらえる。出たものの不作と言われ、不作のためにアイドルとしては尻すぼみ。そこからみんなバラバラで、親の介護もお嫁に行ったり行かなかったりも一段落した。だから、会うと話がとめどない。

 小林 自分のお墓をどうする? って相談したり。

 木元 人生うまくいかなかったから結束した。今じゃ不作も武器です。

 大沢 集まって何かやりたいけど、どの事務所もなかなか動かない…。そこで由美ちゃんが、由美Pがプロデュースします。

 森尾 まずは、みんな当時の衣装を着ます。

 小林 私はサイズが入らないから、生地を足します。

 松本 由美ちゃんはホットパンツはきます。35年ぶりに「お・ね・が・い」歌います!!

 森尾 全部恥ずかしいけど、この7人と一緒だから。逸美ちゃんしか出たことがない「夜のヒットスタジオ」(フジテレビ系)の雰囲気を再現して、そこでみんなで歌います。

 大沢 「ザ・ベストテン」(TBS系)は誰も出られなかったしね。

 松本 それと親衛隊を捜索しています。

 木元 みんなでコールしたり、歌えるといいね。

 桑田 売れてないから、私たちのカラオケないから。ここでしか歌えない!!

 徳丸は現在、モデル業を中心にしながら、夫の仕事の関係で米シアトルに在住している。帰国のたびに7人で集まるのを楽しみにしている。「遠くに住んでいますが4年前に再会してから『良いあんばい』でいられる7人は、やっぱり神がかってると思います」と、11月の帰国を心待ちにしている。

 チケットは明日21日からチケットぴあで先行発売される。【久我悟】

 ◆83年女性アイドルの不作 横浜銀蠅一家の岩井小百合、主演ドラマが続いた伊藤麻衣子は目立ったが、小泉今日子、中森明菜ら82年組の質、量とも圧倒的で「明らかに私たちは売れてない、谷間だった」(桑田)。大沢は「ファンの方が82年組でおなかいっぱいだった。私たちはいらないけど、ないのもさびしい『お弁当の豆』のような存在」と表現。84年組も女性に加え、チェッカーズ、吉川晃司ら男性陣が充実して83年組の番組出演は限られた。主な仕事は地方の店頭で「歌っている前でニワトリの徒競走がやっていた」(小林)など苦労が多かった。