6月に胆のうがんのため80歳で死去した俳優、加藤剛さんのお別れ会が30日、東京・青山葬儀所で営まれた。

劇団俳優座の養成所時代から親交があり、映画「忍ぶ川」などで共演した栗原小巻(73)は、お別れの言葉を述べた。

加藤さんの死を「きらめく日が沈んだ」と表現し、「剛さんの強い精神、高潔な意志。今振り返って映像を見ますと、あの頃の作品への感情が呼び覚まされます。『人間の本来ある誠実さと演技で表現される誠実さは違う』と、演劇のメソッドでは言われますが、剛さんは誰かの、何かのフリをするのではなく、心で演じていました」と、加藤さんの演技をたたえた。

また「たぐいまれな共演者に恵まれたことは、俳優人生に鮮烈な輝きを与えてくれました」と、加藤さんとの出会いに感謝した。

加藤さんの最後の舞台となった14年「先生のオリザニン」を鑑賞したことも明かし、「その演技に、人間の真実が見事に表現されていました」と話した。

加藤さんの長男夏原諒(43)次男加藤頼(38)はともに俳優。栗原は「剛さんの創造的な俳優の仕事は、2人の魅力あふれるご子息に継承されます。未来を背負う劇団俳優座の後輩の皆さん、あなたがたの素晴らしい先輩を誇りに思ってください。才能と努力の卓越した名優です」と呼びかけた。【杉山理紗】