宝塚歌劇花組トップの明日海(あすみ)りおの退団公演が24日、東京宝塚劇場で千秋楽を迎えた。

   ◇   ◇   ◇

相手娘役4人はトップ固定制後で最多、任期5年半は平成入団で歴代3番目。月組時代は前例がない準トップに就き、トップ就任前から本拠地作でも主演した。本拠地主演経験作は12作になり、平成以降退団のトップでは最多を数えた。

美しい素顔、麗しい振る舞いと美声、こだわりの芝居心。新人時代から抜てきが続き期待を集めたが、一方では小柄ゆえ、女役、子役が続いた時期もあった。「娘役の方が合ってると言われるかも」。優しげなルックスもあって、男役17年はそんな“不安”との闘いでもあった。

その原点は、宝塚受験前にあった。両親に反対され、初めて親に反抗し、自室に閉じこもった。舞台とは違い、普段は柔らかで穏やかな人柄。ささやくように話す。だが、内実は熱く、女役出番の公演だった若手時代のショーで、男役群舞の自身の衣装がないと知り、号泣したと明かしたこともあった。誰よりも熱く「男役」を求め、完結させて卒業を迎えた。【宝塚担当=村上久美子】