フランス・パリ在住のミュージシャンで作家の辻仁成(60)が、新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)が長期にわたる中、自身の精神状態が不安定になってきたと明かし、今後の懸念をつづった。

辻は14日、ブログを更新。現地ではロックダウンから1カ月が過ぎ、さらに1カ月間の延長が宣告された状況で、自身は「もう日付の感覚もないし、正直、今日が何曜日でも関係ない状態を生きている。辛うじて、連載や原稿の締め切り日があるので、なんかと、もってる状態」という。また、「実は、精神科医の先生がテレビで、ロックダウンは3週間目あたりから精神状態が不安定になるから注意、と言っていたのを思い出した。思い当たる」とし、ライブや映画製作なども行えないことで「人生のビジョンみたいなものも前ほど持てなくなってきた」とした。

「ともかく、ぼくにとって、一番の問題はこのようなロックダウン下にあって、どうやって自分の精神を整え、奮起し、乗り切っていくのか、ということである」と、精神面の健康を意識はしているが、「やる気が出ず、目標を見失い、ぼんやりしてしまう毎日」だという。

もともと、家にこもることは「それほど苦じゃない」というが、「新型コロナは無気力まで持ち込んできた」と辻。「問題は外出制限じゃなく、何かみんなが動いていないこの停滞した空気感や、ひたひたと世界中に蔓延する暗い現実感とか、そもそも、生きることの張り合いのようなものまでもが奪われていくことに、問題があるように思う」と指摘し、「テレワークには限界があるし、店を閉めている人はいつ再開できるのか物凄く気を揉んでいるだろうし、ロックダウンが解除された後、それ以前の夢や積み上げてきた成果が消え去っていて、逆に死を考えてしまう人が増えないか、まじで、心配だ」と危惧した。