旧聞になるけれど、4月1日、サントリーの新聞広告に、作家の伊集院静さんが新社会人への激励メッセージが掲載された。1月の成人の日の新成人向けメッセージとともに、00年以来、毎年続いているもので、今回は「ようこそ、令和の新社会人」というタイトルだった。
伊集院さんは今年1月にくも膜下出血で倒れて入院。2月にリハビリ病院に転院し、3月に退院。今は自宅で療養している。入院直後は、妻の女優篠ひろ子さんが「道半ばで書くことを断念せざるを得ないとしたら、こんなに悲しいことはありません」と断筆を思わせるコメントを出したほどの病状だったが、奇跡的に回復した。
メッセージは、いつもの伊集院流だった。「アジアの片隅の、この国で人々は少しでも前へとゆたかにと汗を流し、向かい風に立ってきた。そして、何より、いつも新しい人が、新しい力を与えてくれた。昨日までとは違う日本を、国を、職場を作ろうとしたことだ」。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大に日本が、世界が直面している。「令和初の社会人の君に望む。『新しい君の力と、発想』を思いっ切り提供、提案してくれたまえ。そのバトンタッチが、いつの日か、まだ見ぬ新しい元号を口ずさむ日を迎えることになるんだ。人は己以外の人のために何かをすることだ。出世や名誉やお金だけのために生きてはイケナイんだ」。
伊集院さんにはこれまで何度もインタビュー取材してきたが、会うごとに心に響く言葉を残してくれた。今回のメッセージは、新社会人だけではなく、多くの人を鼓舞する熱さがある。伊集院さんは、最後にこう締めくくった。「さあ立ち向かおう。君ならできる」と。【林尚之】



