中村勘九郎(39)中村七之助(37)が16日、都内で、「三月大歌舞伎」(同4日初日、東京・歌舞伎座)の取材会を行った。

江戸歌舞伎の幕開けを描く舞踊劇「猿若江戸の初櫓」に出演する2人は、作品と縁深い「江戸歌舞伎発祥之地」記念碑を訪れた。初代勘三郎が幕府公認の櫓(やぐら)を上げたことを記念した碑。05年のリニューアルの時には2人の父中村勘三郎さんが序幕を行った。

猿若を演じる勘九郎は「子供のころ、父に『ここに中村座があったんだよ』と教えてもらったことを思い出します。歌舞伎390年のパワーをお見せできたら」などと話した。

出雲の阿国を演じる七之助も「中村屋にとってゆかりのある演目をやらせていただけるのは幸せです。華やかさを見ていただきたい」と語った。

現在、2人は歌舞伎座で、祖父17世中村勘三郎追善狂言に、勘九郎の長男勘太郎(9)次男長三郎(7)とともに出演している。

公演を半分終え、勘九郎は子供たちについて「褒めてあげたい。祖父と父も『よくやっている』と言ってくれているのではないか」と言い、七之助も「2人は普段と違うストレスを感じていると思うが、地に足が着いている」と話した。

ジェンダー問題にも話題が及んだ。歌舞伎は、江戸幕府が女性出演を禁じたため、男性だけが舞台に上がるようになった経緯がある。

勘九郎は「幕府にダメと言われたピンチをチャンスにして女形が生まれた。今、女性が出ちゃだめというのはないが、390年の文化が今の歌舞伎を支えている。新たな演出として女性が出るのはあり」とし、女形の七之助は「女形は必要だと思うし、女性が出演してもおもしろいと思う。踊りに関しては、女形がメインで素晴らしいものがいっぱいある」と話した。