北海道から“次代の歌姫”を目指す。歌志内市出身の歌手nonoc(ノノック)が3日に4枚目シングル「Believe in you」をリリースした。俳優安田顕(47)の兄で音楽プロデューサーの安田史生氏(49)が見いだした逸材で、同曲は人気アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」(TVhで木曜深夜2時から放送中)第2期後半クールのエンディングテーマ。アニソンをきっかけに、その歌声を全国に広める。

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歌志内市生まれの歌姫が、アニソン界の女王を目指す。3日にリリースした自身4枚目のシングルを「明るく前向きな曲。こういう社会情勢。前を向きたくてもうまくいかなくて困っている人に聞いてもらえたら。難しいことは歌っていない。シンプルな気持ちを受け取ってもらいたい」と紹介した。

高校在学中の18年、楽曲投稿アプリで歌を披露していたところ、澄んだ声が、安田顕の兄、安田史生氏の耳に飛び込んだ。同氏は、11年のデビュー曲「MEMORIA」でオリコン最高8位に入った藍井エイルも見いだした。「表現力は未完成だったが、心に残る印象的な声だった。会ってみたいと思った」。その出会いがきっかけで、18年にはオリジナルビデオアニメーション「Re:ゼロから始める異世界生活」の関連2曲のボーカルに抜てきされ、アニソン界に進出した。

個性的なビジュアルは独特な発想から生まれている。シングルを出すごとに異なる角をつけているのが特徴で「2・5次元のような人になりたくて。日本のコスプレ文化は世界的にも認知されている。そういうものを取り入れることで、より覚えてもらえたら」。悪魔のように上を向いた角をつけることもあるが、今回のジャケットは羊のような丸い角をつけ「明るい曲の雰囲気に近づけた」と言う。

さらに今回は、カップリング曲「ヒトリイロ」で初めて作詞にも挑戦。「本当に悩んだ。ものを生み出すことの大変さを知りました」と刺激を受けた。

19年にはアニメ「鬼滅の刃」のオープニング曲「紅蓮華」を歌うLiSAが紅白歌合戦に出場。昨年は劇場版主題歌「炎」が大ヒットし、日本レコード大賞を受賞した。「LiSAさんみたいになれたら。アニソンをきっかけに、私を広く知ってもらいたい」。拠点にする札幌から、新たなムーブメントを起こしていく。【永野高輔】

◆Re:ゼロから始める異世界生活 原作は長月達平によるライトノベル。コンビニの帰り道に突如として異世界に召喚された引きこもり高校生の主人公ナツキ・スバルが、死んで時間を巻き戻す「死に戻りの力」を駆使して、運命にあらがう。アニメは第1期が16年4~9月までテレビ東京などで放送され、同年ニュータイプアニメアワードで監督賞1位、男女キャラクター賞1位。ファンの間では「リゼロ」の呼称で親しまれている。

◆nonoc(ノノック)7月12日、歌志内市生まれ。高校在学中の楽曲投稿アプリをきっかけに、安田氏と出会い音楽活動を開始。18年に「Re:ゼロから始める異世界生活」のイメージソング「Relive」とエンディング曲「White White Snow」のボーカルに抜てきされた。19年にTVアニメ「魔法少女特殊戦あすか」の主題歌「KODO」、同年8月にはTVアニメ「彼方のアストラ」の主題歌「star*frost」をリリース。