第39回向田邦子賞が6日、都内で発表され、脚本家橋部敦子さん(54)が受賞した。先ごろ放送されたテレビ朝日「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」(主演小芝風花)での受賞。

橋部さんは「書き続けてきた『自分を受け入れる』というテーマを、この『モコミ』で書ききった。私の中で区切りとなった作品で受賞でき、とてもうれしく、ホッとしています」。04年、13年のノミネートを経て、3回目で向田賞を射止めた。「17年越しでとらせていただいた。先日、部屋を片付けていたら『モコミで向田邦子賞をとる』と書いたメモが出てきた」と、同賞への思いを語った。

作品は、モノや植物と対話する感性を持ち、人との関わりを極力避けて生きてきたヒロインが、自分に正直に生きていく姿を描き、「さわやかな感動がある。シンプルで読んでいてホッとする作風」と評価された。橋部さんは、主演の小芝風花について「正解がない難しい台本。小芝さんを信頼し、感覚にゆだねた。繊細な感覚が画面越しに伝わってきて、すごい女優さんだと思った」と話した。

また、4日に亡くなった脚本家橋田寿賀子さん(享年95)について質問を受けると、思い出を語って涙。「16年前に橋田賞をいただいた時、『あなたは明るいから大丈夫よね』と声を掛けていただいた。その意味がその時は分からなかったが、つらい時にその言葉を思い出すと大丈夫と思えた。これからもその言葉が私の中に残っていきます」と話した。