歌手松任谷由実(67)が3月29日から、新潟・苗場プリンスホテルで恒例のライブ「SURF&SNOW」を12日まで開催中だ。

1981年(昭56)にスタートし、41回目を迎えた苗場ライブも、コロナ禍の緊急事態宣言もあって、本来の2月上旬から約1カ月半遅れで開幕。これまで、荒天などで振替公演を行ったことはあったというが、延期は初めてだった。

ユーミンにとっても、ライブは昨年2月の苗場ぶり。コロナの影響で、ユーミンだけでなく、多くのライブが、中止・延期を余儀なくされてきた。これまでさまざまな経験をしてきたユーミンでさえ、自粛期間当初は「廃人のようだった」という。それでも「音楽が好きだ!」という気持ちで奮い立ち、「ちょっとしたことを尊く思えるようになった」という。

アーティストとファンが、生の空間で作り出す醍醐味(だいごみ)は、数多くのスタッフによって成立する。ユーミンは、そんなスタッフにも目をやると「ライブをやるとみんな集まれて、元気でいてくれたな? って…。そこから推し量っても、ライブをやると、あまたのアーティストに、あまたのスタッフがいる。みんなでしのいで、頑張ってほしい」と目を潤ませた。

飲食業や旅行業など、コロナの影響で打撃を受けた業界は少なくないが、エンターテインメント業界もその1つ。それぞれがコロナ対策を入念にしながら、徐々にライブも大規模会場も含めて復活してきた。声援を送れないなど、全開でライブを楽しめる環境までは、まだ時間がかかりそうだが、苦しい時代にエンタメは不可欠だ。首都圏では桜も散り、新緑の季節となってきたが、エンタメ業界にさらに“春よ、来い”と願うばかりだ。【大友陽平】