東京五輪の聖火リレー東京都3日目は11日、瑞穂町・瑞穂ビューパーク競技場で無観客による点火セレモニーが行われたが、お笑い芸人の玉ちゃん(玉袋筋太郎=54)は、明るく笑いで盛り上げた。観光親善大使を務める檜原村での公道開催中止の無念、飲食店「スナック玉ちゃん」経営者としての休業苦悩などにも言及。感染防止対策に協力してきたからこそ、東京五輪・パラリンピックの成功を願う気持ちに笑顔で筋を通した。スキージャンプ高梨沙羅が登場する区間では、激しい雷雨による約20分の開始遅れもあったが、無事に聖火はつながれた。

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第1“走者”の玉袋が、笑いの炎も点火した。聖火ランナー決定後、約1年半くらいジョギングなどで準備してきた脚力は発揮できなかったが、トーク力は絶“口”調。「私は新宿生まれ、新宿育ち。緑が少ない場所だったので檜原村の自然が大好きなんですよ。公道はダメって言うけれど(檜原村の)山道だったらいいじゃないって、思っちゃいます。沿道なんかサルしかいねえんだから。クマと一緒に走りたかった」。さっそく、笑いでスタートした。

今日12日からは4度目の緊急事態宣言に突入する。自身が経営する飲食店「スナック玉ちゃん」も、国や都の要請に従い休業中。五輪も首都圏だけでなく、大多数の競技会場が無観客開催に。「聖火リレーも風前のともしびなんて言われちゃっていますけれど、消しちゃいかんと思いましてね。トーチだけでなく、私のハートにも火が付きました」とメラメラ。「緊急事態宣言でわりをくっているけれど、ブーたれている場合じゃない。そのかわり、絶対に成功して(コロナを)見返してやれって感じ。へこたれちゃ、まずい。日本人の底力を見せたい」。感染防止に協力してきた全日本スナック連盟の会長を務める顔ものぞかせ、語気を強めた。

21日にはソフトボール(福島・あづま球場)や女子サッカー(札幌ドームなど)で競技が開始。「4Kのテレビを買いましたよ、大きいやつ。全部の競技が楽しみ。全部見ちゃう」と心待ちにする。トーチキスでは野球・ソフトボール競技をイメージする1本足打法のポーズを披露。「新しいオリンピックの始まりです。商業オリンピックからの脱却です」。爆笑トーク連発で、消沈モードからの一発逆転を願った。【鎌田直秀】

 

◆11日の聖火リレー 東京都の3日目も、公道開催は中止し、点火セレモニーのみ行った。スキージャンプでW杯歴代最多60勝を誇る高梨沙羅、60年ローマ五輪の競泳800メートル自由形リレー銀メダリストで64年東京五輪では共同通信社の記者だった石井宏さんらが参加。俳優の森渉から声優の金田朋子への夫婦トーチキスもあった。今日12日は立川市内で無観客開催。陸上ハンマー投げで68年メキシコ五輪4位の菅原武男さん、アナウンサー小倉智昭さんらが登場する。