米DCコミックスを代表するキャラクター「バットマン」の舞台である架空の都市ゴッサム・シティと、広島県福山市が友好都市提携を結んだ。映画の最新作「THE BATMAN-ザ・バットマン-」(マット・リーブス監督、3月11日公開)の公開に先駆け、21日に都内のワーナーブラザースジャパン合同会社試写室と福山市をリモートでつなぎ、友好都市提携調印式が行われた。ワーナーブラザース映画によると、1939年(昭14)5月にバットマンの漫画がDCコミックスに初登場して以来、このような事例はなく、福山市がDCコミックスが正式に認めた世界初のゴッサム・シティ友好都市となったという。

今回の友好都市提携は、こうもりが縁を結んだ。バットマンはコウモリをモチーフにしたコスチュームで活躍するヒーローである。一方、福山市は今年、築城400年を迎える福山城が位置する場所が元は蝙蝠山(こうもりやま)と称され、「蝠」が福に通じることから城下町が「福山」と名付けられた。さらに、1917年(大6)7月1日に制定された蝙蝠と山をかたどった現在の市章は「バットマン」のシンボルに似ていると市民の間でたびたび話題になっていたという。

ワーナーブラザースジャパン合同会社の土合明宏バイスプレジデント上席執行役員マーケティング本部統括は「DCコミックスの世界で初めてのことが、日本から行われることを誇らしく思います。コミック、アニメ、映画の街との提携を本気で考えてくださった。(福山市から)『何とか、バットマンに福山市も見守っていただけないか』とお話していただき(米国の)DCエンターテイメント、ワーナーブラザース本社と綿密に打ち合わせ、ここに至った。3月11日公開、福山城築城400年に記念すべき発表が出来る」と喜んだ。

福山市の枝広直幹市長は「ゴッサム・シティとの友好提携、うれしく思います。福山城は築城400年を迎えた。同じコウモリのバットマンから正義の力をお借りいただき、事業を成功させたいとワーナーブラザースを通じ、申し入れてきた」と笑みを浮かべた。その上で、映画では英俳優ルパート・ペンリー=ジョーンズが演じる、ゴッサム・シティのドン・ミッチェル市長に向け「思いやり、優しさを意味するローズマインドに共感いただき、ご理解頂いた。ドン・ミッチェル市長に心から感謝申し上げます。福山市に万が一のことがあったら、これからはバットマンが来て守ってくれます。日本の城の美しさを、世界に発信できる最大のチャンス」と呼び掛けた。

福山生まれで、福山城築城400年に向けて城の魅力を発信する応援サポーターとしても活動する声優の福山潤も、調印式に駆けつけ「応援サポーター…驚くとともに喜ばしく思っております」と感激を口にした。福山は人気シリーズ「THE FLASH/フラッシュ」で、主人公のフラッシュことバリー・アレンの声優を担当するなどDCコミックスとも縁があり「バットマン史上初、光栄です。(バットマンは)もちろん大好きです。コミックス、アニメで触れてきましたが、人として戦う姿、苦悩…年とともに魅力が増している。友好都市提携が長く続くことを祈念します」と笑みを浮かべた。