21年10月に90歳で亡くなった、元東映社長の高岩淡(たかいわ・たん)さんのお別れ会が4日、都内で営まれた。この日は、めいの檀ふみ(67)、高岩さんが製作を務めた代表作の1つとして知られる、89年の映画「極道の妻たち三代目姐」に主演した三田佳子(80)をはじめ、約600人が参列した。

祭壇は、高岩さんの著書の後書きに「『荒磯に波』から始まる東映映画は永遠に紡がれ続ける物語」と記してある、その思いを表現したものとなった。バックに東映映画のトレードマーク「荒磯に波」のパネルを設え、祭壇はそのビジュアルである空(青)、波しぶき(白)、岩(茶)を関連させてデザインし、約4000~4500本の花で飾られた。

高岩さんは、1930年(昭和5)11月13日、福岡県生まれ。九大経済学部卒業後の54年に東映に入社し、京都撮影所に配属され大川橋蔵さん、萬屋錦之介さん(当時は中村錦之助)主演作に携わった。78年に常務取締役、86年に専務取締役、93年に社長、02年に会長に就任。錦之介さんと千葉真一さんが主演した78年「柳生一族の陰謀」を企画し、製作者として「青春の門」「鉄道員(ぽっぽや)」などを手掛けた。作家の檀一雄さんは異父兄で遺作「火宅の人」を86年に企画して映画化。檀さんの長女で、めいのふみは「火宅の人」に出演している。

75年には国内初の映画テーマパークとして知られる、東映太秦映画村を開村。95年に就任した日本アカデミー賞協会会長は03年まで務め、12年に牧野省三賞を受賞した。

お別れ会には、高岩さんの映画人としての生き様を紹介する、日本映画史そのものと言っても過言ではない貴重な写真、資料の数々が並べられた。さらに足跡をまとめた、約12分半の特別映像も流された。母校・九大での公演で、高倉健さんが19年ぶりに東映の映画に主演した「鉄道員(ぽっぽや)」のことを熱く語っている最中に、高倉さんがサプライズで登場した模様など貴重な映像が収められた。さらに「現場の誰かが一人でも欠けると映画はできない」「映画はパッション」など、生前の高岩さんの肉声も収められ、参列した多数の映画人が映像に見入っていた。

◆主な参列者 阿川佐和子(68)浅田次郎氏(70)梶間俊一監督(78)かたせ梨乃(64)北大路欣也(79)木村大作監督(82)小林綾子(49)小林稔侍(81)阪本順治監督(63)里見浩太朗(85)山東昭子参院議員(79)周防正行監督(65)舘ひろし(71)中井貴一(60)中山忍(49)名取裕子(64)平山秀幸監督(71)富司純子(76)藤真利子(66)