上島竜兵さんを初めて取材したのは、約15年ほど前にさかのぼる。当時は故志村けんさんとの親交が厚かった時期で、現場に現れた上島さんは二日酔い状態どころか、まだ酔っているようにも見えた。「大丈夫ですか?」の声掛けに、「うん、ダメ」と返答したときの申し訳なさそうな顔が、今でも脳裏に焼きついてる。インタビュー中はつらそうな表情だったが、「では写真撮影をお願いします」とカメラを向けた瞬間、それまでの“ダメおじさん”は消え去り、お笑い芸人としてのスイッチが入り、お決まりのポーズ「ヤ~ッ!」を披露。このとき、お笑い芸人上島竜兵の“プロ根性”を体験した。

それから約10年後、取材で再会すると、くりくりしたあの人懐っこい目で記者を見つめ「初めてではないよね? 前にどこかで会っているよね?」。記憶の片隅にとどめていてくれたのだ。

その後、約5年間ダチョウ倶楽部を担当し、記者発表会やインタビューで会うことも増えた。インタビューで口火を切るのは決まって寺門ジモンさんだが、大抵、脱線する。そこに突っ込みを入れて軌道修正するのが上島さんの役目だった。そんな2人をまるで菩薩(ぼさつ)のように見守るのがリーダーで、それぞれの役割分担ができていたように思えた。世間的には“ダメおじさん”キャラのイメージが強いが、そんな一面も持っていた。

ダチョウ倶楽部35周年記念でインタビューした際に、「もともとは役者志望だったので、今後は役者の仕事もやっていけたら」と話していた。その言葉通り、最近はドラマ出演も多く、思い描いていた道を歩んでいるかのように感じていただけに、言葉が見つからない。ご冥福をお祈りします。【川田和博】

 

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