話題の映画がそろう夏休みシーズンが、今年は一段とにぎやかです。コロナ禍で公開を控えていた作品が続々と登場し、百花繚乱(りょうらん)の様相。思い出に残るような作品が必ず見つかるはずです。夏休み映画は時々の記憶に重なり、その年を象徴する一面もあります。

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この夏の話題作は、どれも「ようやくお披露目」の印象があります。

人気シリーズの第6作「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」は1年の公開延期を経て29日に公開。「バズ・ライトイヤー」はディズニー作品としては2年4カ月ぶりに新作として劇場公開されています。この間、ディズニーでは長編3作品が配信への切り替えや劇場公開との同時配信となっています。

邦画でも、「キングダム2 遥かなる大地へ」(15日公開)は、慎重なコロナ対応によって、撮影期間が異例の1年4カ月に及ぶことになり、結果的に3年ぶりの続編となりました。

いずれも夏興行に的を絞り、タイミングを計った末の公開でいつにない豪華ラインアップができあがりました。米国でも例年サマーシーズンには大作が並びますが、日本の夏興行への意識は格別のようです。

世界の映画興行に目を向けると、歴代ベスト10のうち、夏に公開されたのは「ジュラシック・ワールド」(7位=15年)以下3本に過ぎません。1位の「アバター」(09年)を始め、冬のクリスマスシーズンに公開された作品が、以下3、4、6位と上位4本を占め、冬作品優位の傾向です。

対して日本の歴代ベスト10では、「千と千尋の神隠し」(2位=01年)以下4本が夏。邦画に絞ったベスト10ではなんと7本が夏公開に集中しています。

人気アニメ第5作「ミニオンズ フィーバー」(15日公開)で、初めてシリーズに声の参加をした市村正親(73)は「次男(10歳)と一緒に試写を見て、久しぶりにほめられました」。こちらも初参加の尾野真千子(40)も「めいっ子、おいっ子に自慢できる仕事です」と、ともに笑顔で語りました。

夏休み映画の主流は家族で見るファミリー作品であり、注目度も一段と高いことを象徴するコメントだと思います。