UXの夕方の情報番組「スーパーJ にいがた」のお天気コーナー「ソラりぽ」を4月から担当しているのが気象予報士の田中里穂さん。メディアに出る仕事はこれが初めて。埼玉県出身で、新潟にも今まで来たことはなかったが、この4カ月ほどですっかりお気に入りの街になった。地域に寄り添った予報を心がけて、より新潟に溶け込んでいく。

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放送前は今も緊張する。「天気が同じという日はありませんから」。その日、その時の特徴をきっちりと伝えようとするほど鼓動は高鳴る。それでも、本番が始まると自然と笑顔になれる。

気象予報士になって3年目。「ソラりぽ」が、初めてメディアを通して予報を伝える場。「1回目の放送の時は頭の中が真っ白。緊張しているかどうかも分からなかった」。4カ月がすぎ、「自分の中での合格点はまだないです」と言う。放送後のチェック、ほかの予報士の動画を見ての勉強と、日々の努力を欠かさない。

工夫するのは縦長の新潟独特の天気の伝え方。通常、オンエアで示される地域は7カ所。その中でも海沿いや県境では予報が異なる場合が多い。「新潟は広いです。画面には出ていない細かい地域についても、なるべく触れるよう意識しています」。コーナーの放送は夕食の支度をする時間帯。「住んでいる街の名前が呼ばれれば、何かをしながらでも気付いてもらえると思って」と気遣いを大切にする。

「ソラりぽ」のほかにも情報コーナーのリポーターを務めることがある。桃やすいかの出荷、収穫の現場を訪ねた。その地域の天気に異常があると親切に接してくれた農家の人たちの顔が浮かぶ。「『暑い時間の作業はなるべく避けてください』とか、少しの言い方で寄り添った予報ができるのかも」。一般企業に就職後、独学で気象予報士の資格を取った。取得した直後の19年10月、台風19号によって東日本を中心に大きな被害があった。人々の生活の一端にかかわる責任を感じた。

生まれて初めて訪れた新潟には、もうなじんだ。休日には県内の市町村を回るのが今の楽しみ。8月に入る前には30市町村のうち13市町村に足を運び終えた。「年内に全県制覇が目標です」と笑う。3月に引っ越し、さっそくJ2新潟のホーム戦を観戦。今ではすっかり「はまりました」。新潟県人になった自分をうれしく感じながら、地域と向き合っていく。【斎藤慎一郎】

◆田中里穂(たなか・りほ)12月10日生まれ、埼玉県出身。19年10月に気象予報士の資格を取得し、20年1月に日本気象協会に入社。防災士、熱中症予防指導員の資格も持つ。趣味はスポーツ観戦、ゲーム。