英国のヘンリー王子(38)が、19日にロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われるエリザベス女王の葬儀に軍服ではなく、モーニングコートで参列することが明らかになった。軍での肩書を持つ王室メンバーは通常、葬儀を始めとする儀式に軍服で出席するのが習わしだが、2020年に王室を離脱したヘンリー王子は軍服の着用が認められないという。

女王の国葬を含む5つの主要な行事では、軍の階級を持つ王室メンバーのみが軍服を着用すると発表されたことを受け、ヘンリー王子の広報担当者は、「王子の10年間にわたる軍務は、彼が身に着けている制服で決まるものではありません。私たちは女王陛下の人生とレガシーに引き続き焦点を当てるよう、お願いしたい」と声明を発表した。

ヘンリー王子は、英陸軍に10年間所属し、アフガニスタンに2回従軍した元英陸軍大尉だが、王室離脱に伴って昨年、軍の名誉称号を失った。そのため王室の儀礼によって葬儀で軍の礼服着用は認められず、昨年4月に執り行われたエリザベス女王の夫フィリップ殿下の葬儀でも勲章付きのスーツしか着用できなかったため、女王が「一家の団結」を示すために王族は全員モーニングコートとする異例の決断を下していた。

一方、未成年の少女への性的暴行疑惑が原因で公務を引退したエリザベス女王の次男アンドルー王子は、ヘンリー王子と同様に軍服の着用は認められないが、特別な敬意を示すためウェストミンスターホールでの通夜のみ兄チャールズ国王や姉アン王女、弟エドワード王子と共に軍服の着用が特例で認められることとなった。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)