対照的な舞台を中1日で見た。
21日に東京・東高円寺のロサンゼルスクラブで、歌物語「人魚姫~Fifty years later~」。作家三島由紀夫、石原慎太郎氏が愛した舞台を、52年ぶりに当時のキャストのままよみがえらせた。人魚姫をフラワー・メグ(71)、王子を劇団NLT代表の川端愼二(74)が演じた。出演者は、他に槻城耀羅、諸藤佳子の総勢4人。劇場のキャパも50人ほどの小さな舞台だ。
プロデューサーの”角ママ”こと角川清子氏さんに誘われて見たのだが、実によかった。71歳のフラワー・メグが真に色っぽい。実は70年代初頭にNET(現テレビ朝日)の「23時ショー」で”初めてテレビでヌードを披露した”というレジェンドだ。
70年代に赤坂のクラブ「スペース・カプセル」でアンダーグランドショーに出して、三島、石原といった文化人を魅了したのもさもありなん。20歳で活動1年半で引退。52年後に伝説の舞台をよみがえらせて「また、やりたい」と意欲を見せている。
23日には東京・池袋のサンシャイン劇場で、俳優三宅裕司(71)が率いる劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の第60回記念本公演「ミュージカル・アクション・コメディー 堕天使たちの鎮魂歌~夢色ハーモニーは永遠に~」を見た。
キャパ800人近い劇場で出演者も40人。歌って、踊って、ボケてのコメディーミュージカル。売れない3人組の女性ボーカルグループを主人公に、芸能界の表裏も描く。華やかな舞台で、純粋にステージを楽しめる。個人的には場面転換の直前に必ず出てくるボケがツボにはまった。
スキャンダルを暴く雑誌記者を演じる南波有沙から、十数年ぶりに電話がかかってきて記者の心境を聞かれた。一応、芸能マスコミとしての心構えを話しておいたのだが、汚い芸能記者になっていなかったので安心した(笑い)。
若い時は舞台を見るなど、時間的にも余裕がなかったのだが、年をとって”戦力外”になると、それも可能になる。「人魚姫」はフラワー・メグと川端、「堕天使たちの-」は三宅に話を聞いた。記者のポリシーとして「インタビューさせていただいた舞台は、できる限り必ず見る」というのを貫いている。
問題は舞台を見る以外にも、取材や原稿執筆を抱えていることだ。そして、舞台を見るのは、意外に体力を使う。ただ座っているだけではなく、頭をフル回転させて見ているので精神的にも疲れる。
そして今回は、間の22日に東京・銀座タクトで歌手で俳優のケニー大倉の50歳のバースデイライブも見てしまった。3時間たっぷり歌って笑ってのステージだ。そう3日連続で、客席でステージを楽しんでしまったのだ。これで原稿を書かないで済めば、何と楽な商売だろう(笑い)。
欽ちゃんファミリーの斎藤清六さんは、いろいろなステージを見に行くことで「客席王」と呼ばれていた。2代目は元巨人軍のサイドスローのエースに任せて「3代目斎藤清六」を目指そう。そう思わせてくれた、連日の客席三昧だった。【小谷野俊哉】



