東京国際映画祭が1日、閉幕し、TOHOシネマズ日比谷でクロージングセレモニーが開かれた。

東京国際映画祭がAmazonプライムビデオと共催し、新たな映画作家の発掘、育成に取り組む、今年で3年目を迎えたAmazon Prime Videoテイクワン賞は「Gone with the wind」の、ヤン・リーピン監督が受賞した。ヤン監督は「今回、結構、低い予算でフランスで、ハンディカムを持って撮った作品が、こういう形で受賞させていただき、まことに感動しました。お金がなくても、自由に映画が撮れるのは、僕にとって、すごくロマンだと思います。感謝申し上げます。ありがとうございます」とあいさつした。

3年連続で審査委員長は、行定勲監督(55)が務めたが、韓国で新作を撮影中のため欠席し、審査員を務めた女優の玉城ティナ(26)が、メッセージを代読した。その冒頭で、同監督は「私は現在、新作の撮影のため韓国におり、授賞式に参加できないことを、まずお許し願いたいと思います」と欠席について謝罪し、理解を求めた。その上で「テイクワン賞の目指すところは、Amazonスタジオが支援する長編映画をプロとして企画し、監督する力を持った新人作家を、厳選されたファイナリストの中から発見することにあります。そのこと全員で確認し、審査しました。議論の中で、アート性と商業性を、それぞれの作品に求めていくと自ずと候補作品が絞られ、皆が認める最終結果となりました」と、審査の目指すところを説明した。

「Gone with the wind」は、パリで置引きに合った若い女性と、ホームレスの男の間に起きた、つかの間のロマンスを描いた。行定監督は、同作について「技巧的ではない素直さ、リリカル(叙情的)な映画愛があふれている。街角で出会った2人は、何かを信じてみようと、ちょっと思う。映画というものは、そういうものではないか? そこに真実があるのではないか? あの目を閉じた彼女が見るもの…それこそが映画的であると、私たちは信じたいと思います」と講評を寄せた。そして「受賞した方も、しなかった方にも、私たち審査員は次回作を期待しています。これからも作り続けてください」とエールを送った。

Amazon Prime Videoテイクワン賞は、21年にスタートした。同年は、同賞を受賞した金允洙監督(キム・ユンス=37)が長編映画製作に向け、Amazonスタジオと脚本開発まで話が進んだ。一方、22年は該当作品なしという厳しい結果に終わっていた。今年は、これまで商業映画の監督、脚本、プロデューサーを担当したことのない、日本在住の映画作家が製作した15分までの短編作品が対象で、7月5日から9月4日までの2カ月間で、22年の83本を超える143作品の応募があった。

過去2年同様、受賞者には賞金100万円が贈られるほか、Amazonスタジオと長編映画の製作を模索し、脚本開発に取り組む機会も提供される。児玉隆志プライム・ビデオジャパンカントリーマネジャーは、東京国際映画祭が開幕した10月23日に開かれたファイナリスト上映会で「仕組みを変えたい」と大改革を宣言。受賞者が提案していく、長編映画企画の製作費の上限として、1億円の予算規模を設けると発表。「予算は、永遠には取っておけない。24年12月末までに企画承認、グリーンライト、予算承認を取ることを前提にさせていただきたい」と、企画を通すまでの期限を設けることも明らかにした。具体的には「企画提案からキャスティング等々、リードタイムを考えると、来年前半が企画提案の勝負になるかと思う。今までと違い、いつまでに企画を通すんだという気概を持って欲しい」と強調。受賞者にはメンターを付けて、月1度、企画会議を定期的に設ける。

当初、予定されていなかった審査員特別賞(50万円)も急きょ、用意され「ビー・プリペアード」の安村栄美監督が受賞した。