ロック歌手矢沢永吉(76)が11月8、9の両日、東京ドームでソロデビュー50周年記念コンサートを行いました。同所公演は18年9月以来、約7年ぶり6度目で、76歳2カ月での単独公演は日本人最年長。2日間で約11万人を魅了しました。

以前日刊スポーツの取材に「ライブが続いて声が出ない日があってもいい。かすれたらそれなりに歌う。それはそれでセクシー。それがライブのリアリティー」と話していた矢沢。ですが、この日の23曲は76歳という年齢を全く感じさせないパワフルさ。シャウトはあくまで激しく、バラードはなめらかに荘厳で哀愁たっぷり。声帯も筋肉です。加齢による衰えがあるのが自然なはずですが、重ねた年齢さえ魅力に変換してしまうところがYAZAWAならでは。約2時間半で23曲を走り抜けました。

MCでは昔を振り返りました。「若い時からずっと矢沢を応援してくれているファンの皆さん、いい年になったよね。あの頃は矢沢がリーゼントをしたらみんながリーゼント。しかも95%以上が野郎ばかり。男の集会。ある種の思いや気持ちとか通じているところはあった。俺のことを『兄貴』って。おれは兄貴じゃないけど(笑い)。会場はポマード臭いし、すぐにけんかが始まった。徐々に女性のファンも増えてうれしかったね。今はやっと、(女性)4・5対(男性)5・5くらいの比率になりました。サンキュー」。

今回の取材をするため、矢沢が10年前のソロ40周年の時に受けた各社のインタビュー記事を読みました。気付いたのが、以前の「出るくいは打たれる。上等だ」「分かるやつだけ分かれば良い」というような姿勢から転じて、「自分からリスナーに歩み寄って『矢沢』をアピールする」という雰囲気が加わったことです。

言い換えれば「俺に付いて来い」から「一緒に楽しもうぜ」への変換ということでしょうか。唯一無二の存在としてロック界のカリスマとして君臨し続ける矢沢はこの日、「ありがとう」「サンキュー!」と感謝の言葉を何度も口にしていました。【松本久】