吉沢亮(31)の主演映画「国宝」が、6月6日の初日から24日までの公開172日間で興行収入(興収)173億7739万4500円、動員1231万1553人を記録。03年「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(本広克行監督)が22年守った、173億5000万円の実写日本映画興収記録を塗り替えた。配給の東宝が25日、発表した。

「国宝」は作家・吉田修一氏(57)が3年間、歌舞伎の黒衣をまとい楽屋に入った経験を元に執筆。17年に朝日新聞で連載し、18年に単行本を上下巻で出版。李相日監督(51)は同氏の「悪人」を実写化し公開した10年当時、歌舞伎の女形を軸とした映画を構想した経緯があり、同氏から「国宝」の連載開始時に話を聞き、映画化に挑んだ。

撮影は24年3~6月まで行われたが、李監督はその5、6年前には吉沢に声をかけ、吉沢の主演ありきで企画を立ち上げた。吉沢は横浜流星(29)と、映画に出演もした歌舞伎俳優の中村鴈治郎(66)の指導を受け、基本のすり足から「藤娘」などの演目まで1年半にわたり歌舞伎を稽古した。

伝統芸能の歌舞伎がテーマで上映時間も175分と長く、公開前は観客のハードルは高いとみられ、配給の東宝も興収は30億円と見込んでいた。公開初週の週末3日間の成績は約3億5000万円で3位だったが、2週目に入ると吉沢と横浜が女形の本職と見まごうばかりに演じたことへの驚嘆の声が口コミで広がり、3週目で首位に立った。

原作は公開から4カ月で164万部が重版され、10月31日に累計発行部数200万部を突破。「国宝(観た)」が「現代用語の基礎知識選 2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」でノミネートされるなど社会現象を巻き起こし、興収でも日本映画史に金字塔を打ち立てた。

◆「国宝」 任侠の一門に生まれた立花喜久雄(吉沢亮、黒川想矢)は、美しい顔を持っていた。抗争で父を亡くし、上方歌舞伎の名門当主・花井半二郎(渡辺謙)に引き取られ、生まれながらに将来を約束された半二郎の息子・大垣俊介(横浜流星、越山敬達)と出会う。正反対の血筋で才能も異なる2人は、切磋琢磨(せっさたくま)し芸に青春をささげるが、多くの出会いと別れを経て運命の歯車は狂っていく。