昨年末に行われた漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2025」は、お笑いコンビたくろう(赤木裕=34、きむらバンド=35)が優勝した。

優勝後は年末年始の漫才番組に引っ張りだこなのはもちろん、紅白歌合戦にも出場。すっかり時の人となり、“M-ドリーム”を体現していた。

優勝翌日、大阪市のよしもと漫才劇場で行われた「Kiwami極LIVEプラス+」の凱旋(がいせん)出演を取材させてもらった。

たくろうが登場すると、ファンから約15秒間、拍手を送られたが、「たくろう優勝で見に来た方?」との声に反応したのは約1割ほど。ズッコケながらも、「M-1取ることができましたが、調子に乗らず頑張ります」とあいさつし、M-1の1本目で見せた「リングアナ」と似た「競馬実況」ネタを披露した。

この競馬実況ネタ、24年のM-1グランプリ準々決勝でも見せていた。当時、たまたまなんばグランド花月で見ていたが、大笑いさせてもらった。

結成3年目でM-1準決勝進出。ABCお笑いグランプリやytv漫才新人賞の決勝など、関西のお笑い賞レースでも常連だったが、優勝ができないコンビといった印象だった。こちらが積極的に探しに行っていなかったのもあるにせよ、コロナ禍以降はあまり見かけないなと思っていただけに、久しぶりに見てハマった。観客にもウケていたし、たくろうとバッテリィズは余裕で準決勝進出だろうと思っていた。

だが、たくろうはここで落ちた。審査基準は人それぞれだし、ネタの内容だけで審査しているわけでもないだろうとはいえ、まさか準決勝にも進めないとは思わなかった。バッテリィズが準優勝だっただけに、決勝にたくろうの姿がなかったのは寂しかった。

あれから1年がたち、M-1で優勝。凱旋ライブでは決勝で見せた2本のうちのどちらかを披露するかと思っていたら、見せたのは意外にも競馬のネタだった。そんなに、思い入れの強いネタだったのか?

きむらは「M-1の2本目は競馬をやるかもっていうのは考えてました。でも、当日の雰囲気を見て、僕は『ビバリーヒルズ』のネタの方が良いんかなと思って、『そっちの方を』って話をしました」と当日の赤木とのやりとりを明かし、「競馬」ネタは幻の1本だったことを明かした。

M-1の決勝は初めて。大舞台での経験値が浅かったこともあり、赤木は「もう一発勝負やと思ってたんで。何回も決勝に行ってたら、しんどなる一方だったんで。理想の形で優勝できました」と振り返った。

24年は令和ロマンが連覇。バッテリィズの初見インパクトもあったので、たくろうが出ていたとしても目立っていなかったかもしれないし、雰囲気やネタがバレていたら、今回ほどの爆発力にはつながらなかった可能性もある。一昨年の準々決勝敗退が、赤木の言うとおり「理想の形」につながったのかもしれない。

本人たちは明言を避けているが、東京進出も時間の問題だろう。大阪にいなくなるのは寂しいが、より大きなステージで笑いを届けてくれることを期待している。【阪口孝志】