玉木宏(46)が、ポルトガルの首都リスボンで開催中の国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)主催の欧州最大の柔術大会「ヨーロピアン2026」に出場し、銅メダルを獲得した。
5カ月前の25年8月に、趣味のブラジリアン柔術で「6年ちょいやっている。大会に出て結果を残したいというチャレンジを考えています」と口にしていた。その言葉を直接、聞いていただけに、文字どおりの有言実行を成し遂げたことに頭が下がる思いだった。
玉木は黒帯、茶帯に次ぐ熟練者に与えられる紫帯を持ち、16日に6人が出場したマスター4フェザー級に出場。初戦の相手は、RIZINで戦うクレベル・コイケやホベルト・サトシ・ソウザが所属するボンサイ柔術所属の廣田信寿だった。玉木は、両足で体幹を挟み込むクローズドガードで下から廣田の左腕を取ると、そのまま手首を決め、手首固めで1分45秒で一本勝ち。準決勝では、最終的に銀メダルを獲得したバルシャスブ・ファルパジョ(47)にポイント0-10で敗れるも3位で表彰台に上った。
玉木は23年8、9月に米ラスベガスで開催された、世界最大のブラジリアン柔術の大会「ワールドマスター」に青帯のマスター3(41歳以上)フェザー級で出場し1回戦を突破した。当時は、出演した映画「沈黙の艦隊」(吉野耕平監督)の公開が同9月29日に控えていたタイミングで、取材機会があれば玉木にブラジリアン柔術について聞いてみたいと興味が湧いていた。ちょうど同21日に、同作の撮影を行った広島県呉市の海上自衛隊呉史料館「てつのくじら館」を主演の大沢たかお(57)と訪問したところを同行取材する機会があった。そこで、タイミングが合えば玉木にブラジリアン柔術のことを聞けるかな? と考えた。
それまでも、映画やドラマの取材の機会で玉木に質問したり、声がけしたことは幾度かあった。ただ、作品とは直接、関係ないことを、どうしても聞かなければならずに当てた際は、共演陣や周囲の様子を確認した上で、質問した記者にも答えようと言葉を選びつつ語ってくれたが、答えづらそうな様子も見て取れた。
非常に思慮深い人、という印象を抱いていただけに、呉市に到着してからも、果たして玉木にブラジリアン柔術のことを質問していいものかと思案し、決めかねていた。すると、現地で開かれた懇談会の中で、現役の自衛官からワールドマスター1回戦突破を祝福される一幕があった。玉木は「まさか広島に来て、柔術の話をするとは」と照れ笑いを浮かべた。
これで、ブラジリアン柔術のことを聞いてもおかしくない流れになったと思い、玉木に当てた。すると「15年やったボクシングでは、試合に出たことはなかった。4年前からやった柔術は、挑戦することで見える世界があると思った。仕事でないところで真剣に取り組むことで精神力を鍛えられる一面があり、一生懸命やっています」と語った。
25年8月4日には、都内で行われた厚生労働省の「働き方改革」新PR動画発表会のトークで、玉木はブラジリアン柔術との向き合いについて自ら語った。働き方改革について聞かれると「20代の頃は忍耐で乗り越える…忍耐をつけないと、と思ってやっていた」と若き日を振り返った。その上で、現在について「プライベートでも家族ができた」と言及。18年6月に結婚を発表した木南晴夏(40)との間に、20年に第1子が誕生したことを踏まえ「自分以外に使わなければいけないので、時間配分について考えるようになった」と語った。
さらに、オフについても語った。「オフと言うよりも、仕事以外の時間で子どもの送り迎えの時間も含まれてくる。効率良く、というのは考えるようになった。若い時から大きく変わりましたし、意識しないと変わらないのかなと」と、プライベートでの意識改革も進めていると明かした。そして「子どものことがあって、仕事もない…それ以外の時間は道場に行って、ブラジリアン柔術をやったり、自分の時間にしています。汗を流して自分の趣味、好きなことをやることでリセットして、また仕事に臨める。大事ですね」と、ブラジリアン柔術が公私における良いアクセント、リフレッシュになっていると明かした。
玉木は、マスター4黒帯ライトフェザー級(64キロ以下)1回戦で、銀メダルを獲得したマウロ・エアーズ(49=ブラジル)に僅差で惜敗した、同じARTA BJJ広尾に所属の岡田准一(45=同)と共に、主催のIBJJFの取材を受けた。その中で「僕はボクシングを15年やってきて、ちょっと違うスポーツもやってみたいと思った時に柔術と出会った」と、ブラジリアン柔術との出会いについて語った。その上で「岡田君も言うように、俳優として使える部分もあるだろうし、柔術も極めてみたいなと思いながら、楽しくやっています。僕はまだ紫帯だし、もっと追求して、いつか黒帯になりたいのはある。年を重ねてもできるスポーツというのが一番、楽しいところ。健康的で楽しいスポーツだと、たくさんの人に知って欲しいと思ってやっています」とも語った。
IBJJFは公式インスタグラムで「日本の映画スターの岡田准一と玉木宏」と2人を紹介。「26年欧州選手権のマットに足を運び、忙しい中、時間を割いて競技に臨んだ。柔術がどのように人生の歩みから人々をつなぐかを見るのは素晴らしいことです」と、日本のトップ俳優の2人が多忙な中、競技者として世界に挑んでいることの素晴らしさをたたえた。
玉木は25年12月5日に、木南との間に第2子が誕生していたことを所属事務所を通じて発表している。公私ともに、さらに忙しくなっていることは想像に難くないが「僕も、続けている中でチャレンジできる場所があるというのは、すごく良いと思うし、大きい大会を目指し、練習を続けることによって、さらに技術も高くなるかなと思うので、何年かに1回は目標を作ってトライしたいと思います」と、今後も国際大会に挑戦する意向を示した。
玉木の言葉が本気であることを裏付けたのが、元修斗環太平洋フェザー級王者でRIZINにも参戦した総合格闘家の矢地祐介(35)が19日、Xで発信した投稿だった。自身、総合格闘技と並行してブラジリアン柔術に取り組み、20年に茶帯を取得しているが「いつジムに行っても大体いつもいるお二人 クソ激務であろう俳優業の傍ら、選手ですか? ってくらい柔術の練習してるイメージ」と岡田と玉木が選手並の練習をこなしていると明かした。そして「海外にまで足を運んで世界の強豪たちと腕比べ リスペクトでしかないす!!」とたたえた。
今後、またどこかで玉木を取材する機会があったら、今度はブラジリアン柔術をメインテーマに話を聞いてみたい。ここまで、どのように競技と向き合い、長い手足を駆使し「ヨーロピアン2026」で廣田から一本を取った“必殺技”クローズドガードを、どう磨き上げたかなど“柔術家・格闘家”としての顔を、掘り下げてのぞいてみたい。【村上幸将】



