1970年代に一世を風靡(ふうび)した人気アイドルグループ「キャンディーズ」のメンバーで、女優として活躍した田中好子(たなか・よしこ)さん(本名・小達=おだて=好子)が21日午後7時4分、乳がんのため、東京都港区の病院で亡くなった。55歳だった。

 スーちゃんの急死には驚いた。同じ4月生まれで誕生日が1日違いだったのでよく覚えているが、55歳になったばかりのスーちゃんはこれからさらに、女優として大輪の花を咲かしてくれるはずだった。惜しまれてならない。

 70年代の後半、キャンディーズ時代、スーちゃんとは東京・調布の日活スタジオで会った。NETテレビ(現テレビ朝日)の「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」に出演、伊東四朗や小松政夫とともに「電線音頭」をにぎやかに歌った。天真らんまんな笑顔と人なつっこさが印象的で、質問にも歯切れよく答えてくれた。晩年まで変わらなかったスーちゃんの魅力だった。

 「年下の男の子」の大ヒットをきっかけにスターダムへと駆け上がったキャンディーズ。超売れっ子とあってコンサート取材以外では会える機会がなくなった。だが、解散・引退後も3人にはカムバック説が流れた。中でも、スーちゃんは早期復帰の可能性が高いとみられ、私も都内の実家には足を運んだが、彼女は「のんびりしていますよ」と笑顔を見せるだけだった。

 そして、解散から2年後、萩本欽一のテレビ朝日系「欽ちゃんのどこまでやるの!?」で芸能界復帰が決まり、会見場でスーちゃんに声をかけると、「いろいろすみませんでした」と会釈をしてくれた。取材を受けた時点で復帰を志していたが、本当のことを言えなかったことの謝罪だった。会見では「病気と闘う弟を励ますために女優を目指します」と言った。彼女の復帰を喜んだ弟さんはその後、天に召された。

 すぐに大人の女優に成長した映画「黒い雨」で日本アカデミー賞主演女優賞に輝き、テレビドラマやCMでも活躍した。昨年10月に急性胃腸炎で入院、NHKドラマ会見を欠席した時には「蓄積疲労が原因」と報じられたが、元気なイメージが強かっただけに気にはしなかった。だが、病状は深刻だったようだ。義理の妹の夏目雅子さんは白血病という血液のがんで亡くなった。スーちゃんの死因は乳がんという事実に声を失った。ご冥福を祈ります。【日刊スポーツOB・小林秀夫】