ソフトバンク内川聖一内野手(37)が復調の1発だ。1点リードの4回無死一塁で楽天岸の内角球をさばき、12号2ランを左翼席へ。

当たりが出ていなかった主軸が8月21日以来のアーチで快音を響かせ、チームの連勝を呼び込んだ。優勝マジック点灯は4日以降にお預けとなったが、V奪回へバットで導いてみせる。

   ◇   ◇   ◇

内川の技術が詰まった本塁打だった。4回。楽天岸の内角直球をさばき、ポール際の左翼スタンドへ突き刺した。主導権を握る12号2ラン。1回の2死満塁では二飛に抑えられていた。本塁打の2打席目では「1、2球目のファウル、空振りで力みを感じた」とコンパクトに振ることに切り替えていた。これで今季岸には7打数6安打、2本塁打、3打点。「打てる原因が分かればどんな投手でも打てる。まあ、相性でしょうね」と本人も不思議そうだった。

前2カードでは6試合で21打数4安打、0打点。デスパイネが戻り打順はクリーンアップから6番へと下がっていた。チームは連勝も、2位西武が勝ったため優勝マジック点灯は4日以降にお預け。工藤監督も「どこも上位が狙えるパ・リーグはこれからもこういう戦いは続くと思う」と残り20試合、激戦が続くと気を引き締めた。だが、そんな勝負の最終盤で、主軸に快音が戻ったことがなにより大きな意味を持つ。

8戦ぶりの本塁打で、前回8月21日オリックス戦は観戦に来ていた父一寛さんの前で放った。一寛さんも「一塁と三塁(松田宣)のベテランが元気だとホークスは強いな」とメールで励ました。故障続きで17年は73試合出場、18年は71試合出場にとどまっていたが、37歳の今季は一塁のレギュラーとして123試合中117試合に出場している。昨年はリハビリ中で優勝争いに加われなかった内川は「しびれる状況の中でプレーできるのは幸せ。今年も70試合を超えて(体が)しんどいなと思ったが、もう1回ここを乗り越えて1年戦った証しを残したいなと思う」と、目を輝かせた。

前監督の秋山氏の通算安打2157にあと2本と迫った。「子どものころスタンドで見ていた選手と名前を並べてもらえて。本塁打の数は雲泥の差ですけどね」と申し訳なさそうに笑った。現代のレジェンド内川の本塁打で本拠地ヤフオクドームでの7連戦初戦を白星でスタートさせた。【石橋隆雄】