西武隅田知一郎投手(23)が「借金9」のルーキーイヤーで「400万」アップを勝ち取った。28日、埼玉・所沢市内の球団事務所で契約更改交渉に臨んだ。1600万円だった年俸は2000万円となり、サインした。
自身も予想外だった。「貢献できていなかったので上がらないだろうな」。そう思っていたが、提示は違った。14先発で81回2/3の投球回。渡辺GMはアップの理由を「勝ちが付かなかったが、しっかりイニング数を投げてくれた」と説明。ただ隅田もシンプルには喜べない。「1年間頑張ったという意味でない」と受け止める。「今後の期待を込めてのアップ」の意味も含まれていた。来季への決意が高まるサインとなった。
4球団競合左腕は、16試合に登板して1勝10敗、防御率3・75。開幕2戦目で初登板、初白星をマークするも、鮮烈なデビュー後は苦しんだ。まさかの10連敗で9つの黒星先行。中盤以降、直球を痛打される場面が目立った。「70球以降のギアの上げ方」が1年目の課題となった。
レベルアップを目指すべく、オフはソフトバンクからメジャー移籍を目指す千賀らも師事する鴻江寿治トレーナーのもとに学びに行く。「どういうフォームがあっているのか、勉強を含め自分をもっと知ろうと思っている」。上がった給料でもサプリメントや超音波器具を充実させ、自らの体に投資。来季は「逆襲の1年に。まずは規定投球回数をクリアしたい」と誓った。目指すは2年目のブレーク。「期待値」込みのアップを粋に、来季は恩返しの活躍をする。【上田悠太】
◆隅田の22年シーズン
1月5日 入寮時に財布を忘れ、担当スカウトに1万円の“借金入寮”。
2月18日 紅白戦で登板後、審判からグラブについて「試合では使えないよ」と指摘を受ける。外面と捕球面で色が違ったことが投手のグラブに関する規定に触れてしまった模様。
3月26日 開幕2戦目で7回1安打無失点という鮮烈なプロ初勝利。
6月10日 登録抹消。ローテーションを守っていたが、10戦連続で勝ち星を逃していた。
7月15日 1軍復帰のめどが立っていた中、新型コロナウイルス陽性判定。
8月16日 約2カ月ぶりの1軍復帰。
8月17日 プロ12試合目で初の中継ぎ登板。3回1/3を無失点に抑える。
8月31日 約2カ月半ぶりの先発登板で5回2失点で勝ち負け付かず。
9月14日 7回5失点で10敗目。悔しいパの新人投手では初の2桁連敗。