大逆転メモリアルデーを夢見たけど…。首位阪神は2度の5点ビハインドを追いつく反発力を見せながら、8連勝を逃した。
5番佐藤輝明内野手(24)が8号ソロで2リーグ分立以降の球団8000号を放ち、3回には3番シェルドン・ノイジー外野手(28)が3号左越えソロ、5回は4番大山悠輔内野手(28)が4号同点3ランを記録。球団6年ぶりの甲子園クリーンアップそろい踏みアーチを達成したが、最後は救援陣が力尽きた。
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佐藤輝が打ち上げた白球は、甲子園のカクテル光線に照らされながら夜空に舞った。スタンドインすると大歓声だ。2リーグ分立以降の球団8000号となる8号ソロ。1950年、「ミスタータイガース」と呼ばれた藤村富美男の1号から始まった球団史に名を刻んだ。
4回裏先頭、4点ビハインドだった。玉村の143キロ直球を強く押し返し、中堅右の無人ゾーンに届かせた。反撃の1発に「いい角度で上がって入ってくれてよかったです」。球団スタッフに球団通算8000号になったが? と問われると「マジですか!? 背番号も8だしキリが良くてうれしいです」とうなずいた。大逆転への号砲になることを、誰もが願った。
3回のノイジーのソロは2リーグ分立以降の球団通算7999号。佐藤輝の同8000号、そして5回には大山が一時は同点弾となる3ランを放ち、これが同8001号となった。だが6回以降、自慢の中継ぎ陣が力尽きた。甲子園では6シーズンぶりとなるクリーンアップそろい踏み弾も、両軍合わせて22安打17得点の乱打戦を制すことができず。連勝は7で止まり、中盤はお祭り騒ぎだった甲子園も最後はため息に包まれた。
ただ、記念の一撃を糧にしないわけにはいかない。背番号8は4試合ぶりのアーチで5月は早くも5本目。プロ1年目の5月に初の「月間MVP賞」に輝いた5月男が量産態勢だ。打席では、まるで「控えめなイチロー」のように右手をセンター方向に向け、じっと見つめてから構えに入る。「状態が悪くなったら(右肩が)内側に入ってきてしまうので」と説明する通り、ホームベースに対して体を常に平行に保つためのもの。力が抜けるフォームがパワーの源になっている。
試合後には「たまたま僕が8000号を打っただけ。特にないですけど、9000号を目指して頑張ります」と力を込め、「やっぱり1本だけじゃなく、2本3本と打てるように」と勝利に結びつく一打を誓った。メモリアルな夜を、ただの負けでは終わらせない。【中野椋】
▼阪神が1950年(昭25)の2リーグ制後、セ・リーグ通算8000本塁打を達成した。ノイジーが3回に左翼スタンドへソロ本塁打を放り込みリーチ。佐藤輝が4回にバックスクリーンへソロ本塁打を放ってメモリアルアーチとした。50年に藤村富美男が1号本塁打を放ってから、74年目にして8000本へ到達。なお、阪神がセ・リーグで8000本への到達が最も遅い。
▼2リーグ制後の球団通算8000号=阪神 19日の広島7回戦の4回、佐藤輝が今季8号を放って達成。1号は50年3月11日の藤村富。2リーグ制後に8000本到達は11球団目で、現12球団で楽天と阪神だけが打っていなかった。なお、1リーグ時代からの通算本塁打は8366本。
▼佐藤輝と大山のアベック本塁打とアベック打点の連勝がそれぞれストップした。そろって本塁打なら21年6月12日楽天戦から5連勝、そろって打点を挙げれば今季は8戦全勝で22年9月23日広島戦から9連勝中だったが、ストップした。
▼阪神は3番ノイジー、4番大山、5番佐藤輝のクリーンアップ3人に本塁打が飛び出した。クリーンアップ全員が本塁打を放ったのは22年5月18日ヤクルト戦(神宮)以来で、3番マルテ、4番佐藤輝、5番大山。8番西純にも1発が出た。甲子園では、金本監督時代の17年9月2日中日戦で3番福留、4番大山、5番中谷がそろって本塁打を記録して以来6年ぶりで、8番坂本にも本塁打が出た。