元WWEのスーパースター、ディーン・アンブローズことジョン・モクスリー(33)が新日本のG1クライマックスに参戦し、輝きを放っている。初めて体験する新日本のリングで感じていること、今後の展望などについて話を聞いた。【取材・構成=高場泉穂】
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-プロレスとの出合いは
自分にとってプロレスは逃げ場だったんだ。家は貧しく、現実は不安だらけだった。だから、ビデオやテレビでプロレスを見て、そこに居場所を探してた。プロレスでは強いやつが勝つ。それだけ。そんな世界に憧れて、自分もそこにいたいと思った。16歳で学校を辞めてトレーニングを始め、プロレスの世界に入った。
-WWEを辞めた後、新日本に参戦した理由は
もともと日本のプロレスの大ファンだったからね。自分はくだらないキャラクターを演じるエンターテインメントじゃなく、真剣なプロレスがしたかった。それが俺の原点で、日本のプロレスがそういうシリアスな場所なのは知っていた。WWEの時は、会社に言われた場所に行き、言われたように戦っていた。鎖につながれているのと同じ。今は何をやるにも俺の自由。世界中で戦い、経験、知識を得て、人生を楽しむことができる。
-新日本プロレスは思い描いた通りだったか
いや、だいぶ違っていた。新日本は世界中で最も激しくぶつかりあう真剣勝負の場だ。おどけてダンスを踊るのとはわけが違う。世界のどのプロレスとも違い、新日本で重要なのは戦いに絶対的に集中することなんだ。
-いきなり長いリーグ戦。どう過ごしているか
いい時間を過ごしているよ。自分の体は若くないから回復に努めてる。試合の合間は次の相手の研究をしたり、ストレッチをしたり、けがの手当てをしたり。
-日本のプロレスの聖地である後楽園ホールでも試合したが、どうだったか
神社、寺のような聖地だった。人生の1つの目標が達成できたよ。
-G1の後の予定は。また新日本に参戦できるか
幸い、いまアメリカの団体(AEW)に所属しながら新日本で戦うことに何の問題もない。将来的に、おれはいつでも日本に現れて試合をすることができる。
-来年1・4、5の東京ドーム参戦は頭にあるか
当然、東京ドームではやりたい。G1で優勝すれば、東京ドームのメインで戦える。やるだけだ。
-対戦したい選手は
鈴木みのるとやってみたい。また、斬新でユニークなスタイルを試みるレスラーなら誰とでも対戦してみたい。日本にはそんなレスラーがいっぱいいる。
-ファンに向けて一言
日本のファンは世界一だ。尊敬するし、本当にありがたい。彼らの前でプロレスができることを誇りに思う。みんな歓迎してくれて、そしてキャンバスで戦わせてくれてありがとう。
◆ジョン・モクスリー 1985年12月7日、米オハイオ州シンシナティ生まれ。04年6月、HWAでデビュー。11年にWWE入団。リングネームをディーン・アンブローズに変え、12年からローマン・レインズ、セス・ロリンズとともに「ザ・シールド」を結成して大活躍。19年4月に退団。5月にAEWと契約を結ぶとともに、新日本への参戦を発表した。得意技はデスライダー(WWEではダーティ・ディーズ)。妻はWWEのキャスター、ルネ・ヤング。188センチ、102キロ。