TBSドキュメンタリー映画祭(18~21日)が18日、東京・渋谷のユーロライブで始まり、「生きろ 島田叡(あきら)-戦中最後の沖縄県知事」(20日全国順次公開)の佐古忠彦監督が初日舞台あいさつに出席した。

同映画祭は、テレビニュースで放送しきれなかった膨大な取材映像などをさらに深く掘り起こし、さまざまなテーマで、22作のドキュメンタリー映画として、上演する。

「生きろ-」は、第2次世界大戦中最後の沖縄県知事となった島田叡氏に迫る長編ドキュメンタリー。08年以来の、沖縄戦を生き延びた住民やその家族への取材データを元に作り上げた。

同局「筑紫哲也 NEWS23」「Nスタ」でキャスターを務めた佐古監督は20年以上沖縄の取材を続けており、数々の沖縄を題材とした作品に携わってきた。

島田氏については非常に資料が少なかったといい「どう表現するかは大きな課題だった。私たちにとって挑みの作品だった」と振り返ったが、「長い時間をかけての1つ1つの蓄積の上でたどり着いた」と胸を張った。

この日の前に、沖縄でも先行上映されたといい、「当日行きましたら開館前から列をつくっていました」と大盛況だったことを明かした。沖縄住民に「おじい、おばあに聞いていたことがそのままスクリーンに映っていた」と声をかけられたといい「1番うれしかったのは『いい映画だったよ』っていう言葉を残してくれること」と感慨深い表情を浮かべた。。

映画の中で、島田氏の思いを語るシーンでは俳優佐々木蔵之介(53)が声を担当した。「島田が見たであろう事実を島田の語りにした。蔵之介さんはその場面での島田の気持ちを考えに考え抜いてすばらしい表現をしていただいた」と絶賛。

佐々木は事前に沖縄を訪れて、いろいろな空気を感じ取ってから収録に臨んだという。沖縄でも「島田さんのイメージにぴったりだ」という声を多くもらったといい「蔵之介さんにお願いして本当に良かった」と話した。

注目ポイントは島田氏の人間像。本土の人間では珍しく個人の名前で慰霊の対象となっており、「(知事として)軍と協力しなければいけないという最大の任務があるわけですよね。でも一方で住民を守らなければならないという二律背反に陥る。その苦しみの中でこの人物が何をしたのか提示したい」とアピール。

タイトルの「生きる」ということは現代的なテーマでもあると語り、「コロナの時代にリーダー論、官僚のあり方というのが最近も報道されていますね。全体主義の中で個がどんな風な行動をとれるのか、何を考えられるのか。今の価値観からは想像もつかないような時代だったはず。逆らいようのない大きな権力の中で島田っていう人が最後は個を貫いた。抗った。なぜそれができたのか、組織と個の関係も見えてきます。時代を超えて今に投げかけてくるメッセージというのが非常にある話ではないか」と映画の持つ意味を力説した。