アーチェリーで5大会連続出場の12年ロンドン・オリンピック(五輪)個人銀メダリスト、古川高晴(36=近大職)が団体に続き、銅メダルを獲得した。3位決定戦で湯智鈞(20=台湾)を7-3で下した。勝負どころでベテランらしい集中力を見せ、勢いに乗る若手を退けた。3つのメダル獲得は、84年ロサンゼルス大会銅、04年アテネ大会銀の山本博(58=日体大教)を抜き、日本アーチェリー界で最多となった。

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準決勝で金メダルを獲得したトルコ選手には競り負けた。直後に行われた3位決定戦で、古川は巻き返した。台湾選手を退け銅メダル。日本のアーチェリー界最多となる3つ目のメダルを獲得した。「歴史に名前が残せたことがうれしい」と感慨深そうに語った。

技術はもちろん、精神的なタフさが求められるアーチェリーは、常に平常心で矢を放つことが重要。この日の古川には相手が10点、9点を重ねても、ここぞという場面で10点を連発する強さがあった。3位決定戦では15本中8本が10点をマーク。「タイミング良く打てば今日は10点に入った」と語るほどの好調ぶりで、相手を寄せ付けなかった。

予選を終えて64人中46位。自信を失いかけ、指導を受ける近大の山田監督らに助言を求めた。「何回も連絡して励ましてもらって」と、約20年一緒にやってきた恩師からの指摘を受け、矢を放つ時のフォームを修正。「他の日本の選手や監督、コーチにしょうもない打ち方をしていると怒られないようにちゃんと打った」。迷いは消えていた。

16年リオデジャネイロ五輪後に結婚した妻との間に、今年2月に第1子となる長男が誕生。12年ロンドン決勝後、山田監督から「お前、(試合を)捨てたやろ」とふがいない戦いぶりを叱咤(しった)された。かつては精神面が課題とされた男は、一家の主となってたくましくなった。

5大会連続出場でメダルを再び獲得。年を重ねても「体力は落ちてない。逆に技術面は伸びている」と、24年パリを目指すことも表明。「団体、個人と取ったので次はミックスでメダルを」と、向上心は衰えることを知らない。【平山連】

◆古川高晴(ふるかわ・たかはる)1984年(昭59)8月9日、青森市生まれ。青森東高でアーチェリーを始める。近大では全日本学生王座決定戦で団体公式戦130連勝の立役者に。好きな言葉は「好きこそものの上手なれ」。174センチ、89キロ。