陸上女子1500メートル、5000メートル、1万メートルの3種目にエントリーしているシファン・ハッサン(28=オランダ)はまず1冠を達成した。

5000メートル決勝を14分36秒79で制した。メダリスト会見で「5000メートルの前には大変疲れていた。体中が痛い。悪夢のような状況もあったが、金メダル。素晴らしいドラマが起こった」と振り返った。

というのも、5000メートル決勝は夜だったが、午前中は1500メートル予選に出場。その時、「悪夢のような状況」は起こった。ラスト1周で、他選手と接触し、転倒してしまった。集団から大きく遅れた。突破は絶望的かと思われたが、すぐに立ち上がって激走。最初は6着以内の着順通過を目指したというが、驚異的なごぼう抜きで結局、4分5秒17の1着通過した。そんなアクシデントがあってからの頂点だった。

19年世界選手権は1500メートルと1万メートルの“変則2冠”。エチオピア生まれの超人は、今大会では常識外れの3種目に挑む。「クレイジーでしょうか? 確かに多くの人は、この3種目をやらないですよね。でも金メダルを取るとか、勝つとかではく、私はやりたいからやっているんです」。そう言葉に力を込めた。