陸上女子やり投げで北口榛花(23=JAL、旭川市出身)が予選で62メートル06をマークし、全体6位で決勝進出を決めた。同種目の決勝は64年東京五輪以来57年ぶりの快挙。

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五輪初出場の北口が大舞台でも“らしさ”を発揮した。1投目。助走速度を落とさず、やりに力を伝えた。今季最長の62メートル06をマークすると、両手を口に当てて飛び跳ねて喜んだ。旭川東高時代でも、日大時代でも、どの大会でも、好記録が出ればよく見せる姿だ。本人も自覚している。「大はしゃぎしてしまって反省しています」と照れくさそうに笑った。練習では手が震えたというが、本番ではその緊張を全く感じさせない堂々とした投てきだった。

北海道から見守った恩師は、教え子の度胸と勝負強さに驚いた。深川市内の自宅でテレビやネットで観戦した元旭川東高監督、松橋昌巳氏は「力を出せれば予選は通ると思っていたけど、素晴らしいこと」とたたえた。北口に可能性を感じて陸上の世界に誘ったのが、高校に入学した8年前だ。「1年生の時点で東京五輪出場は2人で思い描いていた。出るのが目標だったけど」。66メートルの日本記録を樹立し、夢をかなえて、さらにその先を走る姿を誇らしく感じる。

全体6位で予選を突破した。6日の決勝に向け、松橋氏は「入賞とかメダルを取ったら私、泣き崩れますね。楽しみにしています」とエールを送る。旭川市から世界へ飛び出した23歳が日本勢57年ぶりのファイナリストとして戦う姿は、恩師も北海道民も注目している。

 

◆北口榛花(きたぐち・はるか)1998年(平10)3月16日、北海道旭川市生まれ。3歳で水泳を始めて、小6時にはバドミントンの全国大会で団体優勝。旭川東高1年までは競泳と陸上の二刀流。19年5月に日本記録64メートル36を樹立し、同年10月に66メートル00と大幅更新。父幸平さんはパティシエで、ヘーゼルナッツが実る「榛(ハシバミ)」が名前の一部に。179センチ。