日本勢女子初出場となった女子1500メートルで田中希実(21=豊田自動織機TC)が世界を驚かせた。準決勝1組で日本女子で初めて4分を切る3分59秒19の日本新記録で5着に入り、決勝進出を決めた。

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<こんな人>本を読みたい-。そんな気持ちが幼少期の成長を支えた。家から小学校まで2・5キロの道のり。ランドセルに教科書が多く詰め込まれた日も、習字道具がある日も、走って帰った。「元々、歩きながら本を読んでいたんですけれど、『危ない』と禁止になった。それなら速く走って帰って読もう」。そんな日常が、100メートル走で20秒とさえないタイムで、運動会でも全然活躍できなかった少女の土台となっていた。小学校高学年の時の夢は「作家になりたい」。原稿用紙30枚の童話を書いて、コンクールに応募したこともある。そして21歳。思い描いていた未来とは違ったが、自らが本になって残るであろう、日本陸上史に価値ある1ページを刻んだ。