東京オリンピック(五輪)陸上の女子マラソン(札幌市)で、前夜にスタート時間が午前7時から6時に早まったことについて、東京大会の開催を統括する組織委員会の中村英正メインオペレーションセンター(MOC)が言及した。

日本勢トップの8位入賞を果たした一山麻緒(24=ワコール)は、前日の午後7時前に就寝した後の同7時過ぎに部屋をノックされて、関係者からの「明日6時スタートって聞いた?」との声で変更を知ったという。

そこから朝方まで寝られなくなったという一山の反応に対し、中村氏は「本当にラストミニッツ(直前、土壇場)で(暑さ対策のため)できたところと迷惑をかけてしまったところの両面がある。もっと早くできたのではないか、という声に対しては自分もそう思う」と受け止めた。

その上で、変更の理由については「選手とIF(国際競技団体=世界陸連)から声が出てきたと聞いている」と、現場からの要望を受けての気温上昇対策だったと説明。「プロセスについては、つまびらかには承知していないが『選手の健康に影響がありますよ』と言われると、それに対して『もう開始時間は決まっているから』『予定通りで』とは組織委としては言えない」と対応に当たったという。

「選手の健康、命に対して、強い声が出てきた時に『動かない』という選択肢はなかった」とも強調した上で、選手に対しては「アスリートの立場から見て『もう少し早く』という声は真摯に受け止め、今後の対応に生かしていく」と約束した。

組織委は前日6日の午後7時30分ごろ、気温上昇によるアスリートの健康への配慮を理由にマラソン女子の号砲時間の変更を発表。世界陸連のメディカルチームのアドバイスを踏まえ、国際オリンピック委員会(IOC)とも協議を重ねて決定していた。【木下淳】