日本は1点ビハインドの9回に柳田の二ゴロの間に追いつくと、タイブレークの10回に甲斐の適時打でサヨナラを収めた。劇的勝利を飾った日本は準決勝に進出し、4日に韓国と対戦することになった。

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若き侍の守護神が、大役を果たした。栗林良吏投手(25)が、無死一、二塁から始まる延長10回のタイブレークのマウンドを託された。先頭フレージャーを真ん中低めのフォークで空振り三振。続くフィリアを二ゴロに仕留め、2死一、三塁。最後はコロズバリを直球で左飛に。吉田正のキャッチを見届け、右拳で渾身(こんしん)のガッツポーズ。魂を込めた見事な3人斬りでサヨナラ勝ちへの流れを引き寄せた。

「絶対に点を与えないという気持ちで開き直ってマウンドに上がった。回ってくると思っていたし、シーズンの失敗を生かして、どんな場面でもどんな状況でも行くつもりだった。結果的に抑えられてよかった」

憧れの投手と初めて同じ舞台に立った。栗林がかねて理想の投手に挙げていたのが田中将だった。「田中さんのように、ピンチでもう1段階ギアを上げられる投手になりたい」。学生時代には田中将の投球フォームをまねしたこともあったが「全然ダメでしたね」。思い描いたフォームの習得は断念したが、ギアを上げる投球は、“まね”することができた。絶体絶命の状況でさらに磨きがかかる右腕の「1球入魂」のスタイルに大きな影響を与えた田中将と同じ試合でリレーを形成し、価値ある「1勝」に大きく貢献した。

新人ながら鯉の絶対的守護神に君臨する右腕。シーズンでは未勝利だが、五輪で2勝目を手にした。「あと2回勝てば金メダル。そこを取るためにやってきた。次の試合も必ず勝って、全勝で決勝に行けるように頑張りたい」。侍のクローザーとして、チームを世界の頂点まで導く覚悟だ。【古財稜明】

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