X JAPANの代表曲「紅」で入場したフェザー級の入江聖奈(20=日体大)が、19年世界選手権3位のカリス・アーティングストール(26=英国)に3-2の判定で勝ち、決勝進出を決めた。

12年ロンドン五輪から採用された女子で、日本から初出場。3位決定戦はないため勝てば初メダルだった準々決勝(28日)を制した勢いのまま、金メダルまであと1勝に迫った。

「日本は五輪で見ない。なめられているかも。メダルを取ってドヤ顔をしたい」。大会前に声を弾ませていた。女子はフライ級の並木月海と2人の出場だが、試合順で結果が出るのは先。「女子初というプレッシャーは感じてない。自分が初めて五輪の舞台に上がれる。誰も経験していないこと。めちゃくちゃ楽しんでいきたい」と明るかった。

小2年でボクシングを題材にした漫画「がんばれ元気」を読んで競技を始めた。育った鳥取県には女子ボクシングの土壌はなく、家族の反対もありながら、思いを貫いた。中学では鳥取県で唯一の女子選手登録を済まし、この舞台を目指してきた。

残るは1勝。決勝は3日に行われる。「最初に金もうれしいですが、緊張から一番早く解放されるのが良かった」と屈託なく想像していた未来へ、突き進む。

◆入江聖奈(いりえ・せな)2000年(平12)1月9日、鳥取県米子市生まれ。小2から「シュガーナックルボクシングジム」に入門。米子西高からボクシングに専念し、3年時に全日本選手権優勝。日体大では柔道女子の阿部詩と同学年。164センチ。