17、18年世界王者の阿部一二三(23=パーク24)が決勝でマルグベラシビリ(ジョージア)を下し、自身初の五輪金メダルを獲得した。残り2分で大外刈りで技ありを奪い、その後も果敢に背負い投げなどを仕掛け、優勢勝ちを収めた。女子52キロ級で金メダルを獲得した妹詩とともに史上初となる兄妹同日金メダルに輝き「本当に歴史に名を刻めたというか、本当に歴史を変えられた、塗り替えられたかなと思います」とホッとした表情を浮かべた。

先に妹が金メダルを獲得しており、重圧は大きかったに違いない。しかし、その胸中について「先に詩が金メダルを取って、ボクはすごい燃えた。絶対にやってやるしかないと。プレッシャーなんて全然、なかったです」と兄としてのプライドをのぞかせた。

準決勝ではカルグニン(ブラジル)を一本背負い投げで一本を奪い、決勝に向けてギアを上げていた。2回戦が大外刈りがさえ、五輪舞台で足技の進化をみせた。切れ味も十分で「今日はワンチャンスをものにするしかないと常に思って戦っていました。今日はすごくものにできたのかなと思います」と振り返った。

コロナ禍、緊急事態宣言期間中での五輪に「このような状況でオリンピックが開催され、たくさんの人たちのおかげ開催までたどり着いた。畳の上ではガッツポーズとか笑顔で降りるのかなとやる前は思っていましたが、いろいろなことを考えると、たくさんの思いが込み上げてきました」と心境を明かした。

その上で「ボクも初めての金メダル、史上初で兄妹同日優勝を目標にしてきて今日、達成できた。自分1人の力ではなくて、支えてもらっている方々、いつも僕たちを応援してくれる、たくさんの人達がいればこそ。これからもオリンピックチャンピオンという名に恥じないようにに頑張っていく」と気を引き締めていた。