16年リオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(29=旭化成)が柔道で史上7人目となる2大会連続金メダルを獲得した。

決勝はリオ五輪銅メダルのシャフダトゥアシビリ(ジョージア)との顔合わせ。4分間で決着がつかずに延長戦に入ると、得意の大外刈りを仕掛けた。両者ともにスタミナ消耗する中、9分26秒、支え釣り込み足で技ありを奪った。

決勝後、日本武道館の天井を見上げた。大野は「私も29歳となってベテランと言われるところまできましたが、柔道の聖地、武道館で試合できることも少なくなってきているのは自分自身で理解していたので、一生、目に焼き付けておこうと思いました」と感慨に浸った。

3戦連続一本勝ち後、準決勝、決勝と延長戦までもつれこんだ。「リオデジャネイロ五輪を終えて苦しくて辛い日々を凝縮したような、そんな1日の戦いでした」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。リオ五輪で頂点を極めた後は、休養して天理大大学院で修士論文を執筆。約1年間の充電期間を経て、18年2月に東京五輪を見据えて本格復帰した。世界ランキング1位で17年世界王者の橋本壮市(パーク24)との代表争いを制し、五輪代表に選出された。コロナ禍以降は男女14階級の代表で唯一国際大会に出場せず、20年2月のグランドスラム大会以来の実戦が五輪となった。

準決勝、決勝は一本を奪えなかったことで、こう言った。

「後半は厳しい戦いが続いた。やはり五輪という場で、理想を体現することの難しさを感じましたし、まあ私自身もまだまだだなと思いました」

柔道では史上7人目となる五輪連覇を成し遂げた。前回五輪からの5年間を振り返りながら、大野は「自分の中で悲観的な思いしかなくて不安でいっぱいの日々を昨年からずっと過ごしていた。この1日で報われたとは思っていませんし、私の柔道人生はこれからも続いていく。今後も『自分を倒すけいこ』を継続してやっていきたいと思います」とキッパリ。気持ちを引き締めることも忘れなかった。