金メダルを目指した16年リオデジャネイロ五輪銀メダリストの原沢久喜(百五銀行)は準決勝で、世界ランキング4位のクルパレク(チェコ)に敗れた。初戦から体が重く、準々決勝では1月のマスターズ大会で一本負けしたハンモに、6分を超える延長戦の末、何とか内股で一本勝ちしたが、試合後に通路でしゃがみ込むなど体力を消耗してしまった。3位決定戦では「絶対王者」リネール(フランス)と対戦する。

リオデジャネイロ五輪後にオーバートレーニング症候群を乗り越えて、世界ランキングは2位まで上げた。

1964年の東京五輪では無差別級の神永昭夫がアントン・ヘーシンク(オランダ)に敗れて銅メダルに終わった。あれから57年。同じ日本武道館での男子最重量級の金メダリスト誕生は日本の悲願でもあった。100キロ超級で3連覇を狙った王者テディ・リネール(フランス)が、準々決勝で敗れる波乱があり、原沢の金メダルへの期待が膨らんでいたが、またしても頂点には届かなかった。

 

◆64年東京五輪のヘーシンク対神永戦 日本武道館で行われた体重無差別級決勝で、神永昭夫が世界王者だったアントン・へーシンク(オランダ)と対戦。9分22秒の熱戦は、ヘーシンクにけさ固めで一本負けした。優勝に大喜びしたオランダ関係者が土足で畳の上に駆け上がろうとしたが、神聖な畳を理解していたヘーシンクは右手で「待て」と制した。「礼に始まり礼に終わる」の精神を体現した行動として、高く評価された。柔道は同大会から正式種目に採用。日本のお家芸だった柔道の全4階級制覇は達成できなかった。