大阪府泉佐野市は16日、東京オリンピック(五輪)のホストタウンとして受け入れているウガンダ共和国の選手団のうち、重量挙げ選手ジュリアス・セチトレコ(20)の所在が分からなくなったと発表した。市の職員と府警で行方を捜している。市によると宿舎に「生活が厳しい国には戻らない。日本で仕事したい」との趣旨の書き置きを残し、名古屋方面行きの切符を買ったとの情報があるという。

市によると、ホテル内にいたセチトレコをチームメートが最後に確認したのは16日午前0時20分ごろ。選手団は毎日、午前中にPCR検査を受けており、検体を採取されることになっていた。正午を過ぎても、セチトレコの検体が採取されていないことを、市の現地調整員が不審に思い、部屋を確認。本人の所在が不明と判明し、午後0時20分ごろ警察へ通報した。

市によると、セチトレコは入国中に、67キロ級のランキングが変更となり、出場資格を逃していた。他の選手らが選手村に移動するタイミングで帰国が予定されていた。携帯電話を持っているが、連絡がつかない状態が続いている。部屋にかばんを残して、数枚の衣服を持ち出し、クレジットカードを持ち歩いているという。市は、セチトレコが、熱やせきなど体調不良をチームに訴えていたかなど、詳しい状況の報告は受けていないという。

泉佐野市で合宿中の選手団はセチトレコを含め、重量挙げとボクシングと水泳の選手ら9人。6月19日に来日したが、成田空港の検疫で計2人が新型コロナ陽性と判明。他の選手らも濃厚接触者の扱いとなり、ホテル内での待機が続いていた。大会に向け、市内で練習ができるようになったのは7月7日からだった。政府の水際対策を巡っては、選手団の中に陽性と診断された者がいる中で、他の選手らを移動させたことに自治体任せなどと批判が高まっていた。その後、政府は、自治体に向けた指針を改定した。【沢田直人】