異様な光景だ。日本人選手のメダル獲得が連日お茶の間をにぎわせる中でも、新型コロナウイルスの感染者数は増加の一途をたどっている。29日の都内の新規陽性者は3865人に達し、3日連続で過去最多を更新。1日の全国の感染者数は初めて1万人を超えた。

正式競技として新たに採用されたサーフィンを取材するため、27日まで千葉県一宮町の釣ケ崎海岸にいた。大会期間中はホテルと会場の行き来のみ。移動の際は大会組織委員会が手配したバスを利用した。無観客で行われた会場内には関係者しかいない。

選手が安心して競技に打ち込むため、記者と触れ合う「ミックスゾーン」でもソーシャルディスタンスが徹底されていた。間隔を空けて立つよう床にマークが付され、守らない人には口頭で注意。会場から新型コロナ感染者を出さないよう配慮が見えた。

27日のサーフィン最終日。日本人2人がメダルを獲得し、選手たちの活躍をたたえる拍手と歓声が会場を包んだ。この競技初めての五輪は大いに盛り上がった。SNS上では興奮と感動をもらったという書き込みが目立った。同時に、都内の新規陽性者数が2848人に上ったということに不安を抱いた投稿も同じくらいある。「本当に五輪を開催して良かったのか」というのもあった。

賛否が渦巻く大会だが、今は無事に終わるのを切に願う。そして一段落したら考えたい。この大会の課題と意義とは-。五輪報道に関わった身として、その責任がある。【平山連】