世界中の注目を浴びるオリンピック(五輪)で29日までにアスリートが会員制交流サイト(SNS)などで差別の的になるケースが出ている。体操男子個人総合で28日、橋本大輝が王者に輝いたことに、インターネット上で「不公平」だなどと中傷が相次いだ。橋本は中国選手と激しく金メダルを争った。

卓球でも、同じような事態が。26日に新種目の混合ダブルスで水谷隼、伊藤美誠組が中国ペアを破って、日本卓球界初の金メダルを獲得した。水谷は28日にツイッターで「とある国から、『○ね、くたばれ、消えろ』とかめっちゃDMくるんだけど免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない」と書き出し、「それだけ世界中を熱くさせたのかと思うと嬉しいよ 日本人の方は全て応援メッセージです ありがとう」とつづった。

鉄のハートを持つ金メダリストはたくましいが、そもそも橋本や水谷が批判される理由は1つもない。SNSの普及で選手自身の発信が容易になった半面、ダイレクトに誹謗(ひぼう)中傷が寄せられる事態に。五輪開幕前には、新型コロナが再拡大したこともあり、競泳女子の池江璃花子に代表辞退や開催に反対するよう求める声がSNS上で寄せられ、池江がツイッターで「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません」と訴えたこともあった。

このような事態に、加藤勝信官房長官も「政府としても、差別的な書き込みなどがあってはならないと考えている。またオリンピック憲章においても人種差別等は禁止されております。(選手の)ひた向きな姿をぜひ、温かく見守っていただきたい」と話している。このままの状況が続けば、対策が必要となりそう。野放しにすることはできない。