金メダルラッシュの日本が獲得した金メダルは5日までで22個、34人の金メダリストが誕生した。これで夏冬合わせた金メダリストは228人。ボクシングの入江聖奈が鳥取県に初の金メダルをもたらしたため、残る空白県は沖縄だけになった。6日には空手男子形に喜友名諒(31=劉衛流龍鳳会)が登場。世界選手権3連覇中の優勝候補が「チバリョー(頑張れ)」の声援を背に沖縄に初の金メダルを持ち帰る。(数字は日刊スポーツ調べ)

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鳥取県が金メダリスト0県から脱却し、残されたのは沖縄県だけになった。ボクシング世界王者を7人輩出し、スポーツも盛んなイメージが強い沖縄だけに、金メダリスト0は意外。もっとも、そんな不名誉な記録が今大会で破られる。沖縄発祥の空手が採用され、沖縄市出身の喜友名が男子形に出場するからだ。

全日本空手道選手権9連覇、世界選手権も14年から3連覇中で、今大会も金メダル最有力。「勝って、金メダルを持ち帰る」と150万県民の声援に応える自信をみせる。出身の沖縄市役所には「沖縄市に金メダルを!チバリョー!」の懸垂幕。金メダル獲得への期待は高まっている。

沖縄県にとっては、初の東京五輪だ。米国から日本に返還されたのは72年。前回の64年東京五輪の時は施政権が米国にあり、聖火リレーは特別に行われたが沖縄から選手が参加することはできなかった。今大会は追加種目として初めて空手が採用された。初の金へ絶好のタイミングだった。

これまで沖縄県出身の五輪メダリストは、92年バルセロナ五輪体操男子団体銅メダルの知念孝しかいなかった。今大会のレスリングで屋比久翔平が2個目の銅メダルを獲得。個人種目では初のメダルだったが、金には届かなかった。「沖縄の子どもたちに金メダルを見せたい」という思いは、喜友名が実現させる。

6日にはカヌー男子カナディアンシングル1000メートル予選に当銘孝仁が登場。7日には野球の決勝戦も行われ、石垣市出身の西武平良海馬投手も金メダルに王手をかけている。沖縄県勢初の金メダリストが一気に複数誕生する可能性もある。大会終盤、うちなー(沖縄)が燃える。

◆沖縄出身選手 東京五輪には空手・喜友名、野球・平良のほか重量挙げ男子61キロ級の糸数陽一、陸上男子走り幅跳びの津波響樹ら計10人が出場。五輪メダル獲得は92年バルセロナの体操男子団体で知念孝の銅メダルが沖縄勢初のメダル獲得。今回の東京で、レスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級の屋比久翔平が個人初表彰台となる銅メダルに輝いた。