君が代斉唱は武蔵野音大2年、佐藤ひらりさん(20)が務めた。淡いさくら色のドレスに身を包んだ佐藤さんは、若々しい歌声をパラリンピアンが集う国立競技場内に響かせていた。

視神経低形成により生まれつき全盲の佐藤さんは、5歳の時にピアノに触れ音楽を始めた。12歳の時には米国のニューヨークアポロシアター主催のコンクールでチャンピオンに輝いた実績を持ち、現役大学生ながらシンガー・ソングライターとしても活動している。

「東京オリンピック・パラリンピックで国歌斉唱が夢です!!」とSNS上で公言していた佐藤さんは、公募キャストとして採用された。この日は念願の舞台で堂々とした立ち振る舞いを見せ、美しい歌声で君が代を歌い上げた。

開会式のコンセプトは「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」。人生の逆風に立ち向かって「翼」を広げるパラリンピック選手をイメージし、勇気を出して翼を広げ、誰しも思わぬ場所に到達できるという意味を込めているという。開閉会式では一般公募した出演者も登場し、開会式では公募で採用された障がい者ら75人が出演した。