日本パラリンピック委員会(JPC)と東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は28日、都内で会見し、パラ柔道男子81キロ級の北薗新光(30)が選手村内で、トヨタ自動車の自動運転車「eパレット」と接触した事故について説明した。JPC高橋秀文副委員長によると、北薗に外傷はなく、精密検査でも異常は見当たらなかった。一方で「今回の件以降、食欲不振などの体調不良が見られた」と明かした。

北薗は「車にぶつかったかどうか分からない」と話しているという。高橋氏は「転倒して頭を打ったことは間違いないが、原因が分からない」とした上で「脳振とうを起こした可能性も考慮し、1週間程度かけて徐々に競技復帰をするべきだ」とのチームドクターの見立てもあり、本人が最終的に28日の試合辞退を決めたと説明した。

組織委が事故を直後に把握しながら、1日半経過後の27日夜にようやく公表した。トヨタが最高位スポンサーだから配慮したのではとの指摘に、中村英正大会開催統括は「ございません」と“忖度(そんたく)”を否定。高谷正哲スポークスパーソンは「事実関係の確認に時間を要した」と釈明した。【近藤由美子】